小梅です。
岩茶と並ぶ武夷山の誇るお茶が正山小種です。ラプサンスーチョンとも呼ばれる紅茶の一種で、イギリスでは王様や貴族が好んで飲むお茶として有名だったとか。武夷山の街でも至る所に「正山小種」の看板を見る事が出来ます。 滞在最終日の朝、正山小種の産地に連れて行ってもらいました。岩茶の取れる風景区からは少し離れていますが、武夷山の一部です。
紅茶のルーツ、とも言われるこのお茶は、かなり標高の高い山奥で採れます。もともと、明の時代の終わり頃、この地に軍隊がやってきた時に岩茶が製茶できないままに発酵が進んで出来たのがその起源だとか、あるいは岩茶を松の木で焙煎しようとして偶然できたとか、このお茶には様々な言い伝えがありますが、どれもはっきりしないそうです。
紅茶がウーロン茶や緑茶と同じ、茶の木の葉から作られるというのは、意外とご存じではない人も多いかもしれません。品種が違うとはいえ、日本の緑茶とインドの紅茶を飲んだらとても両者が同じルーツを持つとは思えませんものね。
せっかくの機会なので色々な種類の正山小種を評茶してきました。松の匂いがついた煙っぽい味と匂いがする紅茶ですが、品種や製法によって味の濃淡や特徴はさまざまです。少し漢方薬のような匂いがするクセのある味なので好き嫌いは分かれそうですね。
今(昨年ぐらいから急に)中国本土で人気が高いのは「金駿眉」「銀駿眉」と呼ばれる種類の葉です。金は一番芽、銀は二番芽だけを摘んで作られる為、若くて香りの清々しいお茶になるのだそうで、その味は蜂蜜に例えられます。 5年ぐらい前のプーアール茶のバブルのような、或いは日本で数年前にちょこっと話題になった鳳凰単叢のような人気に近いかもしれません。香港、上海、広州といった地で高く取引されているようです。武夷山でもそれは同様で、びっくりするぐらい高かったです。
この「金」と「銀」の他に百年老叢などといった貴重なお茶をたくさんいただきました。「金」は少しだけ試飲用にわけていただきました。何か良い事をした時にご褒美として番頭さんに飲ませてあげようと思っていますが、なかなか良い事をしてくれません。