イヨッ、番頭でげす。
それにしても朝からよく降りますなあ。良いお湿りで、なんて暢気な事を言ってられる身分じゃないんすが、でも一息つける日になりそうっすね。
「何でも水出しプロジェクト」 ひっそりとではありますが、帳場の奥の方で毎日続けております。丹桂、奇蘭につづいて雀舌を、さらに小梅を水出しで作ってみました。 雀舌も小梅も熱湯で淹れた時の味から想像がつく範囲の味、でした。 軽焙煎の岩茶の場合、だいたいこの想定の範囲の中に収まる事が多いですね、経験上。だったらそんな無難なモンばかり水出ししてねえで、何か他のお茶でチャレンジしろよ、って事で今朝はコイツを仕込んでみました。
武夷紅茶、金ちゃん銀ちゃんコンビの銀のほうです。金駿眉よりはいくらか紅茶の葉っぱらしい外見ですが、それでもかなり細かい葉っぱ(葉つうより芽そのものっすね、見た目は)で緑黄色赤が混じり合った淡い色合いです。 どーなんですかね、言うてもコイツ、ラプサンスーチョン=正山小種の仲間っしょ?水出しして美味しいんでしょうか。果てしなく不安っす。
紅茶なんで硬水、あるいは微発泡硬水あたりを使うのがセオリーなのかもしれませんが、プロジェクトの主旨からしてもここは同一条件で作らんといかんので、ごく普通の軟水、当茶荘の水出しレシピにのっとって作ってます。
水出し銀駿眉が出来たら一緒に、とお茶請けも用意・・・頂き物ですが。 人形町の老舗中の老舗、壽堂さんの銘菓黄金芋。 壽堂さんは津津浦々のデパートでも売られている有名なお店です。水天宮交差点近くにあるお店の近くまで行くとものすごいニッキの香りが漂ってくるのでお店がどこにあるのかすぐに判ります。木の菓子重に納められた品の良い和菓子はどれも見惚れてしまうのですが、一番人気はやはりこの黄金芋だそうっす。
焼き芋を模したお菓子です。真ん中で切ってみるとかなりリアルに焼き芋なんで思わず笑っちまいます。皮の部分の色と質感を再現してるのが香りの正体「ニッキ」の粉。かなりニッキっぽい(当たり前か)匂い、しかも粉がものすごい細かいんで、あっちこっちにシナモンの香りがくっつきます。お茶屋としてはいささか厄介なシロモノかもしれません。 主張の強い香りに加え、しっかりと甘いんで、岩茶なんかとは合わせにくいと思います。紅茶ならコレが・・・と番頭が考えたのは「シナモンティーつうのがあるぐらいだから、紅茶とニッキって合うんじゃね?」という至って単純な動機です。すんませんねえ、番頭は紅茶に関してはホントに勉強不足でして。
もうちょいしたら水出し銀駿眉の味見をして、いい塩梅だったらこの黄金芋と一緒にアフタヌーンティ。
誤算なのはこの肌寒さなんすけど。
壽堂さんでお菓子を入れてくれる袋(箱じゃなくてバラ買いした時ね)のデザイン。ずっと以前に買わせていただいた時にあまりにカッコいいんでスクラップブックに保存してます。明治30年代当時の壽堂さんの商品リストだそうで。歴史があるっていいっすね、こういう粋な事が出来て。
さて、紅茶の様子見てくんべ。
雨の午後もたまにゃ良いモンです。