ときどき茶荘の棚の前で溜息が聞こえます。
この茶壺がつかせている事が多々あります。
どの茶壺も見応えがあり、実際にお値段ではこの茶壺より高いものもあります。でも、この茶壺は「溜息製造器」のように見る人を魅了します。
「美人肩」という形です。。。「美人局」ではありません。あっちは犯罪行為、こちらは茶器の一つです。
この美人肩は周さんの作品です。といっても周さんのオリジナルな形状ではなく、石瓢や弧玉と同じように古くから伝わる伝統的な紫砂壺の形の一つです。
・・・サザエさんじゃないんで、フタ開けてもタマが出てくるわけではありません。
オーソドックスな形状ではありますが、平均的な茶壺とくらべると縦長です。タッパがしっかりあるんで、プーアールの生茶とか、葉の大きい包種茶にも合いそうです。
溜息をつかせるのは何ともいえない艶めかしい曲線美=フォルム、と周さんご自慢の紫泥の艶っぽさ=肌合いが合わさって生み出す「上品なセクシーさ」でしょうか。色っぽさと気品の両方を併せ持つのはそうそう簡単ではありません。
茶荘に現在あるのはこの周さんのものだけですが、李さんも楊さんも美しい美人肩を作ります。李さん楊さんの美人肩はもうちょっと上部が大きく、下のほうでキュっと絞られていて、くびれがより強調されています。周さんの美人肩は少し寸胴です。
美人肩は特徴があるので目立ちますが、同時に出来不出来も判りやすい、そんな形状でもあります。 磁器の普及品と並べると一目瞭然です。
周さんの美人肩は茶荘の棚に存在感抜群で並んでおります。
曲線美、といえばわたくしの後ろ姿などもなかなかのものではないか、と。