ええ、番頭でござい。
雨が上がりました。午後から気温もぐっと上昇するとか。花粉症の方にはあまり嬉しいお天気じゃないみたいですね。
番頭めは朝っぱらから帳場仕事そっちのけでお茶を飲んでいます。小梅さんがね、展示会に行っちゃって留守なモンで。鬼の居ぬ間のなんとやら。
かねてより気になっていた「使う茶器で味が違うって?」という何ともプリミティヴな疑問の検証です。
使用したのは2つの全く異なる茶器です。こちらは茶こしのついた耐熱ガラスのマグです。
対するは宜興の土で作られた陶壺。
経験則として、また学んだ知識として「陶器のほうが柔らかい味になる」「湯温が高いほうが適している茶葉には陶器が有利」等々、色々な素材や形状による味の違いや得手不得手は一応頭に入っています。口の記憶も、3年もお茶屋やっていればなんぼ番頭でもいくらかあります。
でも、よく考えてみたらこうしてあらためて実験する事はあまりありません。
小梅さんは何度もこの手の実験をしていて、例えば天然石、錫、鉄、銅など様々な素材と陶器、磁器などのオーソドックスな素材の比較などもしています。番頭もそういった実験に参加してはいますが、今回のはもっと単純です。
使ったのは普段番頭が使う事の多い二つ。どちらも特別なものではございません。引き出しの少ない番頭は、こういった使い慣れたものを使わないと実験が成り立たないんです。
茶葉は「巌水仙」にしました。普段飲み慣れていない茶葉を使っちゃうと、結果に対する予測やそれとの誤差、いわゆる「答え合わせ」が出来ないからです。香りや甘みがあまり特徴的な茶葉も同じような理由でパスです。
何より、この実験だと同じ種類のお茶をかなり飲まないといけない(もったいないすから)ので、今日飲みたい気分のお茶にしとかないと、一人では飲みきれなくなったらアレなんで。
ちゃんと茶葉の量を計って、お湯の量も同じになるようにし、同じ時間で出せるように両者お湯を入れるタイミングも計算して淹れてみました。ずぼらな番頭にしてはよくやったほうです。
結果。。。ほぼ同じ色のお茶が入りました。そりゃそうっすね。
で、味はというと。
かなりアバウトな番頭の舌とノドを以てしても、違いがわかりました。
巌水仙のように焙煎が強めで甘みと酸味のバランスが持ち味なお茶では、茶壺で淹れたお茶のほうがより濃香に感じられ、ガラスマグのほうは少しシャープで、酸味が強調された感じでした。
だからって茶壺が全てにおいてベター、という事ではもちろんありません。お茶の種類によってはクリアでシャープに味が出るほうが良いものもありますし、それこそ個々人の好みというのもありますんで。
今回の実験方法は一人でやるにはちょっとせわしなくなってしまう(短時間にいっぱいのまないといけないんで)ので、お友達と一緒の時にでもお試しいただく事をお勧めしますです。お腹たっぷんたっぷんですもの、今。
水っ腹のまんまお昼時。
昼メシどうしましょうかねえ。