ビッグウェンズデー番頭です。
宿題が出ました。
神田に本店を構える江戸前寿司の老舗「矢の根寿司」さんが水天宮前のロイヤルパークホテルにお店を出してらっしゃいまして、この美味しそうな握りはそちらのものです。
ロイヤルパークさんには世界中から色々なお客さまがお越しになります。空港リムジンバスのターミナルTCATのすぐ隣という絶好の立地もありますが、ゆったりとしたホスピタリティが好評のようで、海外からのリピーターさんが多いとの事。
塗りの箱に入ったこの小さな折り詰めは、そうした海外からのお客さまをおもてなしする企画の一環として、矢の根さんが特別にあしらえたものです。もともと、桜の下で花を愛でながら、という趣旨だったので、しょう油の小皿も使わずに気軽につまんでいただけるよう にネタも考えてあります。海外からのお客さまでも抵抗なくお召し上がりいただけるように、ヅケにした赤身、甘みを抑えたツメを塗った穴子、同じく甘みを抑えたお寿司屋さんらしい玉子。さび抜きで、江戸前のちょっとだけ甘みの強い酢飯で握ってあります。なるほど、これならしょう油なくてもしっかり味が楽しめます。
さて、お題です。
「この3カンの握り、それぞれに合う中国茶を一つずつ提案して下さい」
難題っすねえ、こりゃ。
セオリー通りならお寿司屋さんで普段でてくる粉茶に近いもの、という事であまり甘みや香りが主張せず、かつ口の中や舌をリセット出来るお茶を選ぶのが無難です。ただ、それだと中国茶にする必然性も無いですし、1種類のお茶で十分です。なので、これはそういう解答を求められているんではないですね。
お茶屋で、茶葉を売るのを生業としておりますんで、茶荘では常に「お茶ありき」です。なのでお茶に合わせるものといえば、お茶の味わいや香りを損なわないものに限定されます。言い換えれば「○○に合うお茶」ではなく「お茶に合う○○」という選択になっちゃいます。
なので、恥ずかしながらこういう宿題はあまり得意ではないです。
この3カンの握りを茶荘にお持ちいただいて、実際にお茶を淹れて色々と飲み比べながら飲んでみました。凍頂冬茶は予想どおり無難に合わせられました。これはどうかなあ、とおっかなびっくり淹れてみた佛手は不思議なほど合いました。 傾向を考えた上でプーアール生茶、というのを小梅さんに提案したのですが、見事に却下されました。
他に小梅さんが「これはこのお寿司に合う」「こっちはこちらのお茶」とアタリを付けたお茶が何種類か。
味覚の好みは十人十色なので、どれがどれ、という回答は伏せておきます。
意外とね、飲み物と食べ物の相性ってわかんないもんですね。ちょっとびっくりしました。
フン、のけ者にしやがって。