少しひんやりとした湿気を帯びた空気がしっとりと茶荘を覆い、かといって肌寒いほどではない雨の朝。
こんな朝にはあまり甘みや香りの主張が強すぎないお茶を、という事で傳統凍頂烏龍茶を選びました。
といっても、実は一杯目はすでに飲んでおりまして、これが2種類目のお茶つう事になります。
一つ目は1999年の傳統凍頂、いわゆる世紀またぎの陳年茶です。鹿谷の劉さんが分けてくれた陳年茶の一つ。小梅さんが店に来る前に証拠隠滅まで済ませないといけないので大急ぎで煎を重ねておりました。なので写真は無しです。
2種類目はゆっくりと。 下ろして一月経たない茶壺の慣らし運転と、右手のトレーニングを兼ねてぼっちで試飲会なぞ。
現在茶荘の棚にならんでいる傳統凍頂烏龍です。こちらは陳年ものではなく、一昨年のものです。
茶荘の凍頂烏龍にはもう1種類焙煎したものがありますが、それい較べて傳統型は発酵度が高く、やや柔らかめに炭焙煎され、かつ枝の部分をある程度外しています。「比賽」という、いわゆるコンテストに出品される凍頂烏龍茶のエントリー資格と同じ「お約束ごと」で作られた昔ながらプラスα、ってな感じのお茶です。
岩茶の焙煎とはちょっと感じが違います。こってりとした甘みを出す岩茶に対して、凍頂の火入れは香ばしさと渋みの両方がバランス良く引き出されているイメージです。渋み(や苦み)をどの程度ネガティブに捉えるか、というスタンスの違いもあるんでしょう。 喉の奥からじんわりと上がってくる透明感のある甘みが傳統凍頂の持ち味の一つです。
飽きない味、でもあり肩の凝らない味でもあります。
何度か書いた記憶がありますが、番頭がまだ番頭ではなかった頃、頻繁に仕事で訪れる高雄の工場でミーティング中にわんこ茶状態で出てきたお茶がこんな感じでした。グレードはだいぶ違うとは思いますが。
なので番頭にとっては懐かしい味でもあり、それゆえちょっと評価にゲタを履かせがち。
甘い物とのマッチングに関しては岩茶よりは許容範囲が広そうです。しっかりとした味わいと渋みは、パイナップルケーキやら茶梅といった台湾のうすら甘モノには勿論、小豆系にもお芋系にも合います。
実は(後出しが多いなあ)撮影用にピックアップしたもので番頭用ではありません。
番頭は陳年のほうと一緒に、これまた陳年の「土蔵8年物」つう、昔ながらの塩分がきっつい梅干しを一ついただきました。こちらもびっくりするぐらいの塩分なのに角が取れた円熟の味でした。
あり、今日はいつもの自虐は無し?