「梨地」 表面が梨の皮のように多少ザラザラ凹凸のある状態です。正確には凹凸というより細かい「凸」がランダムにびっしりとある、って感じで、まさに梨の皮のような仕上げです。陶芸だけでなく金属加工やメッキなどでも使われる言葉です。
宜興茶壷の世界では「梨皮」と呼ばれます。ま、そんだけ「梨の皮」というのがしっくりするという事っすね。
スベスベの滑らかな表面がほとんどな茶壷において、梨地の茶壷は現在それほど多く作られていません。調砂(ブレンド)した茶壷に多く見られる為、どことなくザラザラはあかんもの、というイメージがあるからかもしれません、結果としてのザラザラと、狙って作るザラザラはかなり違います。
宜興茶壷の梨地は粒子の大きさが異なる土で作られます。同じ土の場合もあれば、異なる種類の土を合わせる場合もあります。 焼き上がりにバラつきが出やすいので歩留まりがあまり良くないのと、得手不得手があるようで、得意とする作家さんと苦手とする作家さんに分かれるようです。
楊さんは梨地を苦にしない作家さんのほうです。他方周迎珂さんはあまり積極的ではありません。
確かに、表面が滑らかなほうが初見では映えます。梨地はどこか無骨なイメージがあります。
じゃあ何で梨地である必要があるの?というと、これは使ってみると判ります。 育て甲斐がある茶壷、ちょっと判りにくい表現になってしまいますが、成長っぷりが何ともダイナミックなのです。
左が未使用時、右は生茶の試飲に使っている梨地の秦権壺です。どちらも元の土は同じです。
淹れるお茶によっても変化は異なり、焙煎の強いお茶であったり紅茶や熟茶では赤みを帯び、軽焙煎や無焙煎のお茶では地色のまま艶が出ていくイメージです。ザラつきがある分、お茶の成分が吸着しやすいのです。
内側も然り。なのでお茶の香りや味が茶壷に移りやすくなります。。。もちろん良い意味で。
現在茶荘の棚には4種類の梨地の茶壷が並んでいます。いずれも楊さんの作です。
雅韵1 180ml/36,720円
雅韵2 180ml/36,720円
弧玉 230ml/86,400円
倒把西施 250ml/86,400円