茶荘の棚の一等地に鎮座まします茶壺が4つ。同じデザイン、土違いの茶壺です。
その名を「小掇子」といいます。【掇】はタツ、セツ、テツなどと音読みされる漢字で拾う、片付ける、(両手で)運ぶといった意味を持ちます。【掇子】で一つの単語になっているようで「昔の人を運ぶ為の竹製の道具」ってな意味のようです。駕籠とか担架みたいなものかな、と想像しましたが、小梅さん曰く力夫二人で持つ籐椅子型の駕籠がどうやら近いみたいす。
本来の掇子という道具の意味よりも、検索すると「掇子壺」という茶壺が結果にズラっと並ぶほど、茶壺の名前としてのほうがポピュラーです。茶壺の形状のカテゴリーとしては石瓢や井欄などと並んで定番中の定番なのがこの掇子壺です。茶荘のものはどれもサイズが200ml以下の小ぶりなものなので「小掇子」です。
グラマラスでもゴージャスでもない。均整の取れた「端正な」ルックスの茶壺です。女優さんに例えたら判りやすいかって思ったのですが、なにぶんテレビとか映画をあまり観ないんで名前がすぐに浮かばないんですよ。
極めてオーソドックスな形状でどこにも「これ」と言った特徴がありません。逆に言えば欠点が無い、茶壺のお手本のような形をしています。 平たくもなく、縦長でもないコロンとした丸みのある茶壺なので茶葉の種類を選びません。
手前から烏泥、紫泥、清水泥、朱泥。4種類の土のバリエーションがあります。朱泥だけちょっとだけ上半身と頭のデザインが違いますが、どれも同じ小掇子壺です。土ごとの収縮率が違うので微妙に大きさも異なります。
番頭は烏泥という土全般が好きなのですが、この小掇子は清水泥がお気に入りです。ちょっと梨地っぽい素朴な肌合いがこの形になんか合っているように思えます。烏泥はもちろんカッコいいんすけどね。
以下、それぞれの横顔です。
烏泥/180ml 紫泥/190ml 清水泥/180ml 朱泥/170ml