そういやメローイエローって飲み物あったよなぁ。ハッピーマンデー番頭です。
楊琴さんの茶壺2題。ともに黄色い土を使った茶壺です。 こちらは青竹壺の段泥バージョン、竹韵壺。豆清砂の落ち着いた緑色も綺麗ですが、竹の秋のような黄色いものも見応えがあります。
一般的な段泥よりも黄色が強く、周志雲さんの黄金段泥と比べると白みが鮮やかな段泥を使っています。茶壺の証明書には「原砂本山段」とあります。
宜興紫砂の世界では「原砂」というのは「ブレンドをしていないそのままの土」という意味です。対して複数の土を混ぜている場合は「調砂」と呼びます。原砂がすべて偉くて調砂が胡散臭い、という訳ではありません。ちゃんと計算されてブレンドされた調砂は良い土を安く作るテクニックですので。とはいえ、やはり「原砂」とわざわざ表記してあるものはそれでけ「良い土使うてまっせ」という、作家さんのこだわりポイントでもあります。
「段」というのは「段泥」という種類の土ですよ、という意味です。ファンデーション色とかベージュとか、とにかく赤みや青みではない黄みの土を見たらこの段泥だとお考えください、そういう土です。
「本山」つうのは宜興紫砂壺の世界においては「黄龍山産の」という意味です。本山緑泥なんかもとても有名ですし、天青泥もそうですが、黄龍山産出の土は今では別格扱いされています。
陶器に最適な土が産出される宜興周辺にあって黄龍山は青龍山と並び「聖地」のような場所です。黄龍山は10年以上前から現在に至まで土の採掘を政府が厳しく管理しています。ぶっちゃけ良い土は掘り尽くしてしまったんじゃないかなあ、というくらいかつて丘陵だった場所は今は池みたくなっています。なので本山の土、というのは宜興の土屋さんや作陶家さんがストックしている物だけ、って事になっています。ま、自己申告っすからね、こういうのは。
すっかり定番となりつつあるこちらの天圓地方壺。今回は紫泥と一緒に段泥も入荷です。画像だとちょっと白みが目をひきますが、実際にはもうちょい落ち着いた色合いです。
こちらも同じく楊琴さんの作。同じ原砂本山段を使っています。
本山段泥は約1170℃で焼成します。段泥としてはやや高温です。低温で焼くと歩留まりはその分よくなりますが、全体にちょっと黒みのある沈んだ色が出てしまいます。高温だとその分歩留まりが若干悪くなるのですが、土本来の風合いを出すためには致し方ありません。
淡色できめの細かい肌は焙煎したお茶だと少し赤みが出てきますが、それはそれで綺麗です。無焙煎の烏龍茶や緑茶に使用するとゆっくりと地色を残したまま艶っぽくなっていくイメージ、どちらも育て甲斐のある茶壺だと思います。 茶荘の棚に並んでおりますんで、手に取ってご覧下さいまし。