去年まるまるサボっちまったせいで、二年ぶりの試飲会は段取りを思い出し思い出ししながらもどうにか2/4が終了。お越しいただいたお客様には心よりお礼申し上げます。
試飲会は「お茶を味わう」というのが一番の目的なので、大切なのはいかに無理なく美味しく飲んでいただくか、という事に尽きます。出すお茶の順番やペアリングもそうですし、ペース配分も同じくらい大切です。どうしても淹れる側は自分のやりやすいようにペースを作りたくなりますが、常にお客様の飲むペースとかもう1煎続けるか、あるいは次のセットに進んだほうがいいのかとかを考えないといけません。二年のブランクが一番影響するのがこの「客観的に見る」という事かな、と思います。番頭からみたら小梅さんはよく考えて進行していた、と思いますが、お客様から見れば何かと至らない点もあったんじゃないかなあ、とちょいと不安ではあります。残り2/4、しっかりやらんとなあ。
岩茶の白瑞香です。今年の岩茶の中では一番最後に出来上がってきました。黄観音、黄玫瑰、奇蘭…と軽やか系に当たりの多かった今年の岩茶ですが、白瑞香はちょっと趣きが異なります。
中国の沈丁花の仲間から名前をとった白瑞香はその由来の通り、ジンチョウゲの花のような清冽な香りを持つお茶です。沈丁花(ジンチョウゲ)がそもそも「沈」=沈香に由来するように、白檀のようなふんわかした独特の香りが最大の持ち味。このあたりは雀舌とも似てますね。
今年の白瑞香は去年のものと較べると少ししっかり目に作ってある印象です。持ち味である香りを前面に出そうとする場合、発酵も焙煎も軽めにするのがセオリーです。華やかな香りや青々しさなら毛茶(焙煎前の半製品)のほうが鮮烈ですし。去年までの白瑞香は香りが強いぶん、ちょっと岩茶としては味が足りないかな、という印象でした。こういうお茶です、といえばそれはそれで美味しいし、現に白瑞香はとても人気者ですし。
淹れてみました。香りはまごうことなき白瑞香特有の香木系の上品なものですが、去年のものより少しこってりとしたまとわりつくような感じです。ちょっと南方系の果物や花を思わせるエキゾチックさが感じられます。さらっとした甘みもあって、去年のもののようなちょっと繊細な青さは感じられません。岩茶度アップというか、厚み増量中!みたいな白瑞香です。
初めて白瑞香を飲む、という方にはそれでもびっくりするほどの香りと爽やかさだと思います。(去年の)白瑞香が大好きです、という方はちょっと面食らうかもしれません。可愛らしいアイドルの男の子がちょっと大人の男っぽくなった…ううん、ちょっと違うぞ。去年のを伊藤智仁のスライダーだとすると今年のはダルビッシュの…これもピンとは来ないぞ。 ともあれ、白瑞香らしさは十分に備えつつ、ちゃんと岩茶として飲み飽きない味の厚みも持っている進化型の白瑞香です。
大ぶりで葉揃いの良い葉底。縁や葉脈に赤みが強く、しっかり発酵させてあるのが見てとれます。今年の岩茶はこれで一段落です。