番頭でございます。
9月11日。あれから16年になるんですね。ニューヨークに知り合いはほとんどいないし、貿易センタービルで働いている知人はいませんでしたが、なんというか普通に暮らしていてもいつ何があるかわかんないぞ、と得体の知れない怖さを感じたのを今でも覚えています。
9月の試飲会は無事に終了いたしました。ご参加いただいた皆さまには心よりお礼申し上げます。何かと至らない点も多かったと思いますが、美味しくお茶を飲んでいただけたようなら何より幸いです。
4日ともまだまだ9月らしい陽気でした。暑い中歩いてお越しの皆さんがいったん落ち着いてからのスタートです。雲南緑茶の蘭韵白毫が好評でした。
例によってお淹れしたお茶を具体的に書く事が出来ないのですが、岩茶の会、生茶・熟茶・紅茶の会ともに2種類のお茶を1セットにして飲み比べていただきました。1種類ずつだと比較対象が無いので特徴や違いが入ってきにくいので茶葉としては遠くなく、かつ特徴の異なる味や香りのものを組みあわせる、言わば階級別選手権みたいなもんかもしれません。
試飲会では当たり前ですが一人が淹れたお茶を全員がほぼ「いっせーの!」って感じで飲みます。同じ茶壺から同じ茶海を経て注がれるお茶なので味や香りの基本構成は99%同じです。なので後は飲んだかたの味覚や好みの問題になってきます。このあたりが自分の家の飲む時との大きな違いです。例えば同じ茶葉をわけて持ち帰ってそれぞれが家で飲んでみる、なんてえとどうしても湯温や茶壺の大きさや抽出時間等々の諸条件が違ってきますんで。
4回の試飲会はそれぞれ7〜8名のお客様が同じお茶を飲み比べます。番頭が我が身を恥じて縮こまるほど、皆さんリラックスした中にも真剣に一つ一つのお茶を飲まれます。
大したもんで皆さんに印象や感想をお聞きすると、見事に意見が分かれます。例えば生茶Aと生茶Bを飲み比べた後、「どっちが好みですか?」というシンプルな質問をしたら4対3だったり、4対4だったり。
岩茶も「私は岩茶A」「私はC」といった具合にそれぞれ好みが分かれました。お茶屋の番頭にとってはほっと一安心です。一つ二つの特定のお茶に人気が集中したり、二択で8対0とかになっちゃうと干上がってしまいますんで。
茶荘の懐事情はともかく、参加いただいた皆さまのご意見ご感想はとても勉強になりました。回答だけでなくこのくらいのお茶ならこのくらい飲めるのか、とか普段飲みつけているお茶に近いほうが美味しく感じるのか、かなり違うほうが新しい出合いがあって楽しいのか、とか。お茶を淹れる事も、試飲をする事もなくお茶をひたすら淹れ続ける小梅さんと、それを延々試飲するお客様をただ見ているだけの番頭が意外と色んな事に気がついたり、教えていただいた試飲会、でありました。