ハッピーマンデー、番頭でっす。
初夏のような陽射しと対照的に秋らしく落ち着いた茶荘。陽当たりが悪いだけ、ともいえますが何かお寺の本堂みたいなほの暗さです。
茶壺が4つ。後列の二つは土違いなので3種類ですね。
共通する特徴としては、どれも面長で、どっしりというよりスラリとした外見をしています。
もう一つ共通しているのは、ここのところ手に取って眺めたり、お持ち帰りになるお客様が多いという点もあります。売れ筋、ってほどすごい数ではないですけんど。
プーアール生茶や中国紅茶を嗜まれる方が増えたのも、こういった形状の茶壺が人気な理由の一つです。プーアール茶はどっちかというとしっかりと高さがあって、かつ口の出が高い位置にあるものと相性が良いと言われています。中でもかなり短い時間で抽出する生茶の場合は口が短く、すとんとお茶が勢いよく出てくるほうが淹れやすいです。
木の実みたいです、どれも。紫砂壺、というとどこか平べったかったり、ちょっと強面っぽかったりするデザインも多々ありますが、この3種類はどれも凛とした中にどこか抜けたところがあって親しみやすいように感じます。大きさ、土、作者はそれぞれ同じではないですが、不思議と佇まいがどこか似ています。
秋水/楊琴作/棗紅泥/250ml
まずは一番大きい秋水。「秋頃の澄みきった水」というくらいの意味のようです。最初はナツメの実に形が似てるからかな、と思いましたがナツメは土に由来します。棗紅泥という、ちょっと特別な土を使っています。光沢がありながらもざらっとした梨地のような落ち着いた肌合いを持ってます。一見250mlも入りそうには見えないのですが、とても薄く作ってあるので容量が大きく、とても軽いのが特徴です。楊さんのお気に入りの茶壺であり、小梅さんのイチオシでもあります。
橄欖/周迎珂作/清水泥・紫泥/190ml
定番中の定番というか、気がつくと全部売れているという人気の茶壺です。木の実っぽいというか、「橄欖」というのは東南アジアや華南地方で採れる植物です。カンランの実、というとオリーブの事を指す事も多く、誤訳らしいんですが「オリーブの実」として認識されています。この茶壺は正に名の通り橄欖の実をモチーフにして作られたものです。全体の形状も蓋の持ち手もオリーブっぽい楕円です。把が円ではなく平打ちで手にしっかりとフィットするので縦長でもグラつかずに指におさまります。
高六方/楊琴作/紫泥/170ml
トリを飾るのはこちら。エンピツのような六角形の胴体でトップとボトムが円。いわゆる方圓壺の一種です。投影面積が小さいのでお茶を淹れる目線ではだいぶ小ぶりに見えますが、容量は思いの外たっぷり。1〜4名分くらいには過不足ないサイズなのと、お茶の出が良いのが持ち味です。ここのところ人気上昇中の茶壺です。個人的にはお気に入りの生茶を何煎もゆっくり飲むなんてえのには一番しっくりくるかなと思います。
縦長茶壺木の実バージョン。並べて見るとちょっとした秋の収穫祭気分が楽しめます。