番頭でござい。
「冬茶の茶摘みは6日と7日に決まったよ」鹿谷の劉さんから連絡がありました。そっか、もうそんな時期なんすね、つうか10月もあっという間に終わりそうっすね。
ちょっとそんな感傷に浸りつつ一人でぼーっとお茶を飲んでおります。
雨の日は焙煎や袋詰め作業が出来ないので小梅さんは朝から辣醤作りです。
今朝のお茶は岩茶の矮脚。日本語読みだと「わいきゃく」、中国語だと「あいじょう」と「アイジャオ」の中間くらいの発音です。正式名称は矮脚烏龍、烏龍種の茶葉です。矮脚の名の由来は葉っぱの基底部…ええと、枝つうか付け根に近い部分が短いという形状から付いています。反対に基底部が全体のバランスでは長めのものが高脚烏龍。どちらも古くからある岩茶の品種ですが、生産量は多くありません。
水仙や奇蘭に較べるとやや小ぶりな葉です。葉揃いは良いですね、手前味噌ですけんど。
中焙煎のやや軽め、くらいの火入れです。矮脚は肉桂のようなしっかりしたボディに華やかな花香がくっついたようなちょっと不思議なお茶です。上撰の矮脚のほうはどっしりが勝っていて甘みや華やかさというよりただただ濃い味わいが持ち合いですが、こちらの矮脚は強さと優しさのバランスが取れています。
誰がいつ飲んでも美味しい岩茶、という点では案外この矮脚は岩茶の中でもトップクラスではないでしょうか。単細胞な番頭は岩茶を初めて飲む方やあまり馴染みの無い方にお淹れする、ってえとポピュラーな肉桂や水仙、あるいは判りやすい奇蘭や金観音あたりくらいしか咄嗟には思いつきませんが、「こんな感じです、岩茶」というのを体感していただくには矮脚がいいかもしれないです。そういえば小梅さんはよく試飲でお薦めしてます。
杯底からはこってりとした焙煎の甘い香り、お茶からはすっきりとした華やかな香り。ギュっと詰まったしっかりとした味わい。祝先生んところの炭焙らしい良い塩梅の火の入り具合です。発酵もしっかりしているので煎を重ねても水っぽくなりません。
やっぱ美味しいなあ、と何煎か飲んだところで小梅さん出勤。どうやら辣醤作りも一段落してみたいです。
「何飲んでますか?」と早速飲んだ小梅さん、一言「ちょっと湿度入ったみたいですね」 ブログに撮るべえ、と茶荷に葉っぱ出して写真撮ったり、途中で思い出してメールのお返事を書いたりしてちょっとの間茶葉をほっぽらかしにしといたのがいけなかったみたいです。
「湿度の高い日は出来るだけ茶葉を出したらすぐに淹れないとダメです」…(ったく同じ事を何回目だよ、覚えないヤツだなホントに)と半ギレな小梅さん。すまんのう。ブログ書くのも仕事のウチなのですよ、番頭は。
強過ぎず、軽過ぎず。華やかでどっしり。
矮脚、これからの季節にお薦めですぜ。
明後日(31日/火曜)はお休みいたします。
命の洗濯ジャブジャブ。