どっちの意味にせよ、橄欖壺の名前はその形状に由来しています。
高さのある、少し面長の楕円形は、典型的なザ・中国茶壺って感じとはちょっと違っています。これまた訳語のニュアンスだけの違いになってしまいますが、ティーポットと英語で呼びたくなるようなフォルムをしています。ちょっと美人肩壺にも似ていますが、美人肩がやや肩に向かって広がっているのに対して橄欖はズンドウ気味です。その分安定感はあるとも言えます。
↑の画像には絵柄の入ったものと、表面が窯変でまだらになっているものはありますが、現在は中央奥の朱泥、右柄の紫泥の2種類があります。
フォルムの他では特徴的なのは把の形状です。断面が○になる一般的な丸みのある一般的な把と異なり、断面が長方形に近くなる、「平打ち」になっています。ええと、一般的な把がうどん、橄欖の把はきしめん、くらいにお考えください。好き嫌いはありますが、この平打ちのほうが指に引っかかりやすく、どうも茶壺の把(持ち手)が指の中で回りそうで不安という方には使いやすいかと思います。また、把の上側の寝癖みたいな返しが、これまた指を置きやすくて安心感があります。
ついでに、同じくオリーブの実のような蓋のポッチも穴が天井ではなく付け根の所に開いているので、指を置く時に気を遣わなくても穴を塞いでしまう心配はありません。安心親切な設計、ってヤツですね。
朱泥・紫泥ともに周迎可さんの作です。丁寧かつオーソドックス、基本に忠実に作られています。
容量は約190ml、2〜4人用としては大きすぎず小さすぎずのちょうど良いサイズです。
朱泥・紫泥ともに特に茶葉の相性を問いませんが、ゆるやかなS字を描く觜の形からすると、どっちかというとプーアールの生茶や紅茶なんかに合うように感じられます。土違いで2色揃えてこっちは紅茶用、こちらは白茶用…なんて並べて使い分けても楽しそうですね。
お値段も26,400円とお値頃です。
茶荘の棚に並んでおりますんで、お手に取ってご覧いただけます。