今日の一杯は台湾・杉林渓の高山茶です。
フルーティな香りと上品な回甘*が清々しい台湾高山茶の中でも特に優しいお茶だと思います。阿里山、梨山、凍頂烏龍茶などと比較すると、強さというより優雅さの勝った品種で、お湯を注ぐ前の葉っぱからすでに可憐な花の香りが主張します。
武夷岩茶が強いカラメルのような香りと喉の中で変化する渋みや甘みを楽しむのにたいして、台湾の青茶は野に咲く花の香りと喉から口の中に戻ってくる何とも言えない甘みが楽しみです。今日みたいなはっきりしないお天気の時には台湾茶が飲みたくなります。
四季春と並び、台湾高山茶の新しい仲間でありながらすっかり高級茶としての評判を定着させた杉林渓。出来の良いものはお値段もここ数年高くなっています。この杉林渓はお茶に詳しい台湾の友人に贈ってもらいましたが、友人も「台湾でもこれだけ高いのを飲んでる人なんかいないよ」と言っていました。台湾の人は毎日いっぱいお茶を飲むので、高いものより値頃で美味しいものを探して半年分ぐらい買い込むみたいです。
日本の緑茶もそんな感じですね。
杉林渓にはドライフルーツやパイナップルケーキなどの台湾お茶請けは勿論、栗蒸しようかんやお大福などの「あんこもの」もよく合うと思います。
*回甘;直接舌に当たる時に感じる甘さではなく、いったん喉を通ったあとに喉の奥から口の中に戻ってくるような甘み。おいしい台湾茶の評価の基準の一つです。日本の緑茶、特に深蒸しのものも一煎目の回甘は鮮烈です。