こんにちは、小梅です。
近所の会社もそろそろ年末に向けて片付けや掃除、お得意先へのご挨拶などで忙しそうです。
その分いつもより静かな茶荘の午前中、時間を見つけて飲み比べをしました。今日は3種類の肉桂です。
先月、私が留守の間に番頭さんが2種類の肉桂の飲み比べについて書いたようですが、今日は3種類を正式な方法で評茶してみようと思います。 評茶は蓋碗、評茶杯と匙(中華料理屋さんで使うレンゲのようなスプーンです)を使って行います。 淹れている時の茶葉の変化、茶水の色、香りなどを判定するのには茶壺を使うよりこちらのほうが適しています。
電子秤で重さをちゃんと量って条件を同じにします。本当は昔の秤(両皿天秤というのですか)が好きなのですが、でもちゃんと量れればそれが一番です。
今日の三種類はどれも肉桂。右から「清香」「濃香」「上撰」です。名前はそれぞれ最初からついているのではなく、当茶荘で判りやすいように付けています。
淹れる前の茶葉です。
一番右の清香は焙煎が軽く、緑色が淡い葉が多く見られます。中央の濃香はそれよりもだいぶ焙煎が強い為、全体に葉が小さく色も濃いです。左の上撰は色は濃いですが、これは焙煎によるものではなく、少し寝かせて熟成させたからです。上撰は葉の大きさが揃っている事からも「選りすぐり」な事が想像できます。 見た目で想像するのも楽しいものです。予想どおりの味の事もありますが、予想と味が全然違う事もあります。
時間も正確に計測し、お湯を注いだ順序どおりに蓋碗から評茶杯に注いでいきましょう。ここはゆっくり出来ません。時間がずれないように素早く注ぎます。
茶水の状態です。清香、濃香は葉の色どおりに色がでています。上撰は清香よりも淡い色です。これはやはり葉の色が焙煎なりではなかった事を現しています。
実は右の上撰は、製茶が終わって最初に飲んでみた時、とても香りも味も良い反面、少し角がある印象を受けました。その為少し時間を置いてみて落ち着くかどうか様子を見ていました。約半年、時々飲んでみながらじっと我慢して寝かせていました。2週間ぐらい前に飲んでみたら角がとれてとても円やかな味になっていました。甘みの強いこってりとした香りはそのままに、期待どおりに味と香りのバランスが取れたお茶に育ってくれました。
もちろん、清香や濃香にもそれぞれの持ち味があり、どれが一番だとか、どれが劣っているという明らかな差があるとは言いません。 番頭さんは鋭くとがった味とはっきりとした香りの清香肉桂が大好きですし、私は香ばしい焙煎の香りと、焙煎で一層強くなった甘みを持つ濃香肉桂が大のお気に入りです。
お茶の風味というのは日々刻々と変化します。今日の試飲の結果がいつまでも変わらないとは言えません。それは上撰肉桂が寝かせる事で変化した事からも明らかです。 今の味を較べてみたい、という方は是非お早めに試飲にいらしてください。 正式な評茶でも、味と香りを気軽に楽しめる茶壺での試飲でも、ご希望の方には喜んでお出しします。