小梅です。こんにちは。
久しぶりに良いおしめりですね。茶荘の湿度計も50-60%の所を指しています。
李さんの茶壺です。
李さんは宜興の作家さんです。奥さんも同じく作家さんです。二人ともとても真面目で、手抜きの無い茶壺作りをします。好みやお値段の事もあって、全部買うなんて事はもちろんありませんが、私はこの二人が一番安心してお付き合いが出来るのでいつも頼りにしています。
男性作家らしく、李さんは大物も得意としています。特に多面体を使った「方壺」作りに自信があるらしく、蓋との合わせが難しい茶壺にあえて挑んだ作品も多いです。 いっぽう奥さんは女性らしい細やかな曲線の使い方に見るものがあります。
典型的な日本の陶芸と違って、宜興の茶壺つくりでは回転ろくろを使いません。小さな手ろくろを使うのですが、これは角度をつける為に左右に動かすのにだけ使います。基本的にはへらやナイフを使って手で形を整えていきます。 神経を使う作業です。目や頭だけでなく、首と肩にかかる負担は相当なものがあるでしょうね。
こうして完成した茶壺は、窯に入れられて高温で焼き上げられます。この時に出来る無数の小さい穴がお茶の香りや茶渋などを吸い込んで良い茶壺に育ちます。養壺、というのですが、この事については長くなるので、また次の機会にお話しします。
その前に、もう一つの工程を経る場合があります。
文字や画、いわゆる装飾を入れる作業です。宜興では一般的には1)茶壺の作家さん2)文字や画を入れる専門の書家さん3)窯で焼く人 というのが分業化しています。中にはご自分でおやりになる先生もいらっしゃいますが、李さんを初めほとんどは書家に「外注」するのです。
有名な詩の一節であったり、縁起の良い言葉であったり。注文を受けて買い主さんの名前や讃える言葉を入れる事も。
画も花鳥風月を中心に、あらゆるものが題材に採り上げられます。
傾向として、中国ではこういった装飾が施された茶壺が人気が高いです。それだけ手間が一つ多くかかっているので、お値段も当然その分高くなりますが、それでも装飾を入れるのは、それだけ人気があるからでしょうね。
茶荘には何点か字の入った茶壺が置いてありますが、私はあまり装飾が入ったものは選びません。 気に入った壺で装飾が入っているものがあると「こんな感じので、ここの文字が無いのを作ってください」と注文してしまいます。 茶荘においでになるお客様のご要望も勿論ありますが、私自身茶壺はすっきりとシンプルなデザインが好きなので。 あくまで主役はお茶、ですので。
茶荘の棚には李さんの壺が数多く並んでいます。「これは李さんの、こちらはちょっと違うかな?」などと較べながら眺めて見てください。