こんにちは、小梅です。
朝がた急に降り出した雨も上がって、今週も茶荘はいつもどおりのゆっくりとしたスタートです。
今週最初のお茶は白茶です。福鼎老白茶、というお茶です。
前回のお茶の旅の際に親しくお付き合いしている友人からいただいたものです。茶荘の棚には現在白茶は置いてありません。 それは決して白茶が嫌いだとか美味しくないからという理由などではなく、ひとえに私の経験不足と勉強不足によるものです。 一気に全てのお茶に手を広げるには中国茶の世界はあまりに広いのです。広く浅く、という事も考えましたが、生まれつき一つ一つ片付けていかないと気が済まない性格なのです。
勉強用に、と寿眉や白毫銀針なども一通り飲みましたが、まだまだ私自身のレベルでは皆様にお出し出来る所まで至っていません。
この福鼎老白茶は、私が見知っている白茶と形も色も異なります。お恥ずかしい話ですが、餅茶になった白茶を飲むのも初めてです。 普通はこのように固まっていない、いわゆる茶葉そのままの形で供されるものですので。
茶葉の色も私が知っている白茶とかなりイメージが違います。 もうちょっと若々しい色、と捉えていたのでちょっとびっくりしました。
何はともあれ、飲んでみないと始まりません。さっそく茶葉を崩して試飲の準備です。
お茶の箱や袋に書いてある「福鼎」というのは福建省北部の都市の名前です。 白茶はその多くが福建省北部の産です。中でも福鼎は政和と並ぶ一大産地です。 福鼎では白毫銀針、白牡丹、寿眉の白茶、緑雪芽という清清しい緑茶、白琳工夫という紅茶といった銘茶が採れる産地です。これらのお茶はすべて福鼎大白茶という茶葉から作られるそうです。
中でも白毫銀針は若い芽だけで作られる貴重なお茶で、ヨーロッパやアメリカでもここ数年とても人気が高いそうです。。。お値段も高くなっているそうですが。 そういった白茶と、この老白餅茶は性格が異なるようです。やはり老茶というだけあって年数の経過した陳年茶の香りがします。
淹れてみました。発酵度がとても軽いのが白茶なのですこし低めの湯温ですが、それでも杭州の学校で習ったものよりは高い温度にしました。一般的な白茶と較べてかなりしっかりと作ってある雰囲気でしたので、むしろ青茶を淹れる気持ちで淹れてみました。
思っていたより赤みの強い茶水の色です。香りは少しだけひなびた、プーアールにも共通するほっこりしたものです。クセがあるという程強くはありません。
口に含んだ瞬間「あれ、これは紅茶じゃない?」という印象を受けました。苦み、といっても製茶の失敗や茶葉の質の悪さから来るものではない、タンニンに由来するような渋みに近いものが舌に残ります。香りもつい最近試飲した担洋工夫紅茶の桂岩紅という紅茶に近いような。。。紅茶、ではないと思うのですが、紅茶っぽい味と香りです。
何か不思議なお茶でした。
もしかしたらこれにも近いかな?と思い岩茶の肉桂を淹れました。較べると甘みが少ないようにも感じられました。
正体は謎のままです。「こういう白茶もあるのかなあ」と素直に受け入れるしかないのでしょうか。良い経験でした。次回友人に会ったら忘れずに正体を確認して再度勉強しようと思います。