番頭です。
昨日はお陰様で千客万来の大賑わい(かなり大袈裟に水増ししてます)、ブログを書く間もなく、あっという間に気付けばタイムアップでした。
今日は番頭の好きな「水仙」についてです。ええ、言うまでもなくお花の話題じゃなくてここでは「武夷水仙」つまり岩茶の一品種の事です。
「水仙が好きです」というのは、岩茶の話題の時に話すのはちょっと勇気が要ります。洋楽好きが「マイケルジャクソンが好き」とか「ガンズ最高」と言うのと似た「何をいまさら」感があるからです。
言い換えればそれだけポピュラーな品種という事でもあります。いわゆる四大名叢ではないですが、肉桂と並んで岩茶のスタンダードです。
かすかな酸味とやわらかい風味が持ち味の優しいお茶だと思います。
老水仙、老叢といった古樹系は別にすると、水仙は軽い焙煎のものが以外と少ないです。持ち味からすると、どっちかといえば軽やかに仕上げたほうがいいんではないかな?と常々疑問に思ってたんで、小梅さんに聞いてみました。「何で?」
1)葉が大きくて厚いから・・・製茶の一番最初の晒青のところからまずつっかえるみたいです。要するに水分出しが難しいので、後々まで折々に水分量を少なくする事が求められるので、どうしても強めに火入れをしないといけない、という事らしいす。
2)値段が高くなるから・・・これはちょっと事情がややこしいのです。ポピュラーで手広く作られているという事は、それだけ質がピンキリになりという事でもあります。ペットボトルのお茶飲料によく「水仙」が使われている(この場合の水仙は武夷水仙ではなく、広く福建省周辺で作られている葉です)事からわかるように、リーゾナブルで大量生産されている水仙もあります。葉が大きいという製茶上のデメリットは、ここではメリットになります。 それらの水仙がセオリー通りに強めに火入れされるのに対して、軽い焙煎の水仙はそのデメリットが表面化しないようなクオリティの高さを要求されます。 素質が良く、軽い焙煎で止める事に耐えられる葉はやはり高いです。 その代わり、そうした水仙は確かにびっくりするほど美味しいです。
こっちは小さくて厚みの少ない茶葉。これは軽く仕上げやすいです。
最初のほうで「水仙が好きというのはちょっと口にしにくい」みたいな事を書きました。という事は高い値段の水仙は需要が多くないですね、日本においては。 なので軽い焙煎の水仙は手に入りにくいんです。
番頭も何度か機会があり、本当に美味しい軽焙煎の水仙を飲んだ事があります。逆に美味しくない軽焙煎の水仙を飲んだ事も。前者は確かに酸味がすっと抜けてからふんわりとした香りが立つすげえ美味しいお茶でした。後者は…何で軽焙煎の水仙が少ないかがよく理解出来る味でした。
今年の小梅茶荘の水仙、もうすぐお目見えです。ファン(番頭含め)の多い昨シーズンの巌水仙の流れを踏襲した美味しい水仙です。焙煎は中ぐらいですけど。