「今日からです」
茶荘から遠くない、富沢町の和菓子屋さん三廼家さんが今日から水ようかんを始めました。もうそんな季節なんすね。いえ、別にその日を狙ってお伺いしたワケではなく、手提げ袋だのなんだのを買い出しに行った帰りにふらっと立ち寄っただけなんすけど。
水ようかんも葛さくらも、お菓子本体をくるっと巻いている葉っぱ、今年は人工のもの、だそうです。平たく言えば「作り物」つう事です。
別に三廼家さんが突如コストダウンに目覚めてしまったとか、面倒くさくなってしまった訳ではないです。「放射能とかね、そういう問題でお客様が心配しちゃうといけないから。。。」という理由。お聞きしたら、葉は伊豆産のものをずっと使っているそうです。でも、「お客様に安心して食べていただきたいので」
勿論、見た目も移り香も、本物の葉のほうが良いに決まっています。作る側としても、出来れば今まで通り、本物の葉を使いたいのは間違いありません。 でも、町家の和菓子屋さんは色々と考えた上で作り物の葉を選びました。
難しい問題ですね。
こだわり、という部分を前面に出すならば、コストがものすごいかかって、結果としてそれが値段に大きく反映してでも天然の葉を使うのでしょう。
三廼家さんの水ようかんも、コンビニやスーパーで売っているものと較べれば、やはり値段は高いです。ただ、食べてみれば判るんですが、それは十分納得できる差です。もっと言えば、これだけ美味しくてこの値段ならじゅぶん安いよな、と思える値段です。
葉をどっちにするか、という選択はお店が決める事で、番頭ごときがどうこういうのは本当に差し出がましいのですが、番頭はこの選択がとても真っ当で、潔く思いました。
翻って、同じような状況になった時、これだけお客様本位で潔い決断が番頭には出来るのでしょうか。
ちょっと自信はありませんが、肝に銘じておかんといけない、って思いました。
水ようかん、なんか懐かしい味で美味しかったです。昨日届いたばかりの台湾茶(杉林渓龍鳳峡ですって)によく合いました。