夏に合うお茶。
まあ美味しいお茶はいつどこで飲んでも美味しいんですけど、やはり季節気候によってより美味しく感じられるお茶というのはあります。普遍的なものではないんで、人それぞれ違うでしょうし、同じ人が同じような天気の日に飲んでもその感じ方は変わります。
ですんで、正確には夏に合うお茶というより、いかにも夏っぽい今日のような日に番頭が飲みたくなるお茶、という事になりますね。
「らおつぉん」というお茶です。日本語読みだと「ろうそう」です。
文字化けしちゃうと元も子もないんで、活字にする時には番頭は「老叢」と表記しています。正しくは【木叢】で一文字です。 地元中国の簡体字ではこんな略字です。人人の下に横棒一本。なんだそりゃ。
要するに樹齢の古い茶樹の葉です。特に他に表記が無い場合はたいてい「水仙」の古樹です。綺麗に畝を形作っている茶樹ではないです。けっこう好き勝手に伸びとるぞワシは、て感じです。
製茶された葉はこんなです。あ、岩茶なのは言うまでもないですね。
どうも年数経った茶葉、という言葉ゆえか「ひなびた」とか「クセがある」イメージを持たれがちですが、この老叢はとにかくやさしく、柔らかい味わいです。繊細なのにしっかりと味もあります。それだけお茶の持つポテンシャルが高いんでしょう。年を経た事で強くなったのではなく、もともと強い茶樹だから樹齢を重ねる事が出来たんでしょう。行ってみれば勝ち残り組のお茶ですね。
一煎目に強い甘みや華やかな香りが…というお茶ではないです。何煎も何煎も、やさしい味と香りがほんわか楽しめて、しかも飲み疲れないお茶です。夏にはぴったり、だと番頭は思います。
こちらは紅茶の老叢。桐山の奥のほうで育つものです。
こっちの老叢もすんごい美味しいのですが、こちらはそうそう気軽に飲めない上に、小梅さんの厳しい監視と管理の下に置かれている「玉手箱銘柄」なので余計に飲めません。
水出しゴクゴクももちろん夏の楽しみですが、朝夕の少しだけ暑さがお休みしてる時に熱いお茶で一息、というのも夏の醍醐味でござんすよ。