ラッフルズホテルのティールームでクローデットクリームをスコーンに塗りたくる、シンガポールは午後2時すぎ。
いっぽうその頃東京は午後3時。人形町のお茶屋ではまさに試飲のまっさかり。
小梅さんが嬉しそうに準備を進めています。
同じ試飲でも、茶壺とか蓋碗が並んでいる時はまだ少しは楽なんですが、この評茶用の鑑定杯セットがお出ましになると、同じ試飲でも番頭にとってはちょいとキツい事になります。
プーアールの生茶でございます。これがね、苦手だったんですよう。「だった」と過去形にしてますが、今でも得意ではないです。ましてや評茶用にしっかり時間かけて淹れた生茶となると…うへぇ。
丸いの4,四角いの1。計5種類並んでますが、これで全部ではないのです。
今回は布朗山の餅茶が並んでいます。易武や南糯といった比較的やさしい味わいの他の山と比較して、味が濃くてしっかりとした茶葉が特徴です。つまりは番頭にとってはより手強い敵であります。
1セット目はその布朗山の葉を3種。左が一番若いお茶。右はすこし年数が経っているお茶です。真ん中のお茶は一見どうもよくわからない葉でしたが、試飲したらどうやら性格のかなり異なる葉のブレンドっぽい事が判明しました。
さて、試飲です。白い磁器製のお椀と、その向こうにガラスの茶海が見えると思います。ガラスの茶海のほうが常に1煎手前のお茶です。お椀のほうが一煎後、という事になります。茶海が空くとお椀から茶海にお茶を移して、次ぎの煎をまたお椀に注ぎます。煎の続く生茶の試飲の場合は、通常かなり長い時間で出した場合でも4〜5煎は飲みます。
1煎目では左→右→真ん中、という順に優れているように感じました。3人で試飲して、この順番は三人とも一緒でした。意外とありそうで少ないんですよ、こういう風な完全一致は。
3煎目ぐらいで左は甘みを残しつつも味が少し落ちてきたのを感じました。いっぽう右はここいらに来てピークを迎えたようで、厚みのある味はそのままに、角が取れた印象です。こういう変化があるから、何煎も飲んでみないといかんのですね。
放っておくと、これがエンドレスに続きます。お客様がお見えになり、お帰りになってまた続き…てな事もしょっちゅうです。
小梅さんがお昼ご飯をいつもよりがっつり食べた時や、ランチパックピーナツ味なんかを買ってきた時は要注意です。うっかり逃げ遅れるとハンパじゃないほどお茶が充実したアフタヌーンティーを味わう事が出来ます。
せめてスコーン。