ねみい。。。番頭でございます。
台湾での学生を中心とした立法員の占拠問題、ちょっと長引きそうで心配です。友人の息子さんが大学生で、彼は台北からちょっと離れた宜蘭で暮らしてます。もうちょっと落ち着いたらゆっくり彼の意見なども聞いてみたいです。

今日の主役はこちら。「金毛猴」という岩茶です。
ニューフェースではありません。
番頭が初めて飲んだのは2010年で、その時は確か「美味しいけど高嶺の花」的なお茶だったと記憶しております。勉強用にちょっとだけ買ってきたものを試飲しながら、「こういうお茶が売れるように頑張らないといけませんねえ」などと小梅さんと話していたのを覚えています。
初めて茶荘の棚に並んだのはその翌年。
「花の2011年組」と番頭が呼んでいる錚々たるメンバーの中でもとても秀でたお茶でした。
同期には白鶏冠、奇蘭という当時のルーキーを始め、清香大紅袍や巌水仙など、いずれ劣らぬタレント揃いの年でした。中でもこの金毛猴は同じく突然現れた「石乳」と並び、インパクト抜群のお茶でした。野球に例えるなら阿波野vs西崎…って言われても誰も頷かないとは思いますが、独特の乳香と甘みを誇る石乳に対してフルーティでありがながらしっかりと焙煎香も感じられる、バランスの取れた正統派のお茶です。

2013年の岩茶では人気を二分する勢いの両雄、「紫紅袍」と「白瑞香」と概ね同じレベルのお茶のようです。いわゆる稀少種なので獲れ高が極端に少なく、その為毎年安定して供給出来ない岩茶の一つです。水仙や肉桂といったメジャーな品種はそれなりにどの茶農さんも複数の畝で育てているので値段は別にすれば毎年何とか美味しいものを探す事は可能ですが、稀少種の場合「ここで会ったが百年目」とばかりに親の仇のごとく首根っこをひっつかまえておく必要があります。

この2週間、羽根が生えているかのような売れ行きの白瑞香も然り。
金毛猴が、白瑞香と較べるとかなりフルーティさとどっしり感を前面に出したお茶でした。さすがに2年半の歳月で焙煎の煙っぽさはだいぶ落ち着いきました。今がまさに飲み頃かな、という感じです。
いい感じに褒め倒しましたが、このお茶にはちょっとした欠点もあります。
小梅さんは試飲でよくこの金毛猴を淹れます。お客さまの味や香りの好みの傾向をお聞きしてから選ぶのですから、試飲でよく選ぶお茶というのはそれだけのポテンシャルがあるという事・・・なのですが。
このお茶、オーソドックスに美味しいだけに持ち味をしっかり出そうと思うと、それなりに必死こいて淹れないといかんのです。番頭が同じシチュエーションで白瑞香や紫紅袍のほうを選んでしまうのは、これが原因です。
ちょっと茶葉が足りないかな、少し長く置いちゃったかな?という時、大抵このお茶はヘソを曲げてます。
要するに「ちょっと気難しい」ところのあるお茶、なんですね多分。 小梅さんは「いつ飲んでも美味しいお茶です」と胸を張って推しまくりますが、それはちゃんと淹れられるからでしょう。 確かに、小梅さんの淹れる金毛猴はとても美味しいです。ライチのような爽やかなフルーティさと、肉桂のようなしっかりとした厚みのある味がケンカせずに同居した、ちょっと不思議な感動があるお茶になります。
反面「あれ、あれれ?」な結果になる事もあります。淹れる側の姿勢も問われるお茶、ですね。
とはいえ、ちゃんと淹れればちゃんと美味しくなるので、時間があって「さあお茶を飲みましょうかねえ」というゆとりのある時にゆっくり飲むには最適のお茶ではないか、と思います。