本日(10日/木曜)は5時に閉店いたします。ご不自由をお掛けいたしますが何卒ご了承下さいませ。
まずはご連絡が一つ。
メールでお問い合わせをいだたいた件につき、この場でご返答いたします。
一昨日にご紹介した茶壺のお値段は「古風漢韵」が129,600円、「心意相違」が97,200円でございます。
頂戴したお問い合わせについては直接メールでお返事をするようにしているのですが、受信拒否を喰らってしまってどうしても送れないケースが時々ございます。特に携帯電話からメールをお送りになる際には「gmail.com」の受信拒否設定を外しておいていただけると助かりますです。
茶壺の値段にドン引きしないように皆さまにお願いしつつ連絡事項終了です。
ようやく本題。今日の主人公は岩茶の「奇蘭」です。
定番中の定番で、しかもお値頃。常にコンスタントに人気がある岩茶の一つですが、この時期になるとにわかにクローズアップされます。
水出し、でも持ち味を発揮するからです。
甘みがちょっとビックリな紅茶「鳳慶」、柔らかくてフラワリーな「金観音」、すっきりさっぱりの「凍頂烏龍」、そしてお買い得感満載の「まかない茶」と、他の4つもそれぞれ人気なのですが、この夏も水出しのエースは「奇蘭」。まあこれ飲んで嫌いだという人はおりますまい、というぐらい万人受けのするフルーティなお茶です。さっぱりしているのに後味がしっかり残るので、水出しでも「ああお茶飲んだ」感が楽しめます。もちろんゴクゴク飲んでも飲み疲れしません。
そんな安定感抜群の奇蘭なので、番頭も「困った時の水出し奇蘭」とばかりに試飲にお出ししまくります。他の4種類から依怙贔屓ではないかとクレームが来そうなほどこの奇蘭を頼りにしてます。まるで王監督にとってのリリーフ鹿取…例えが古くてすまんのう。
そんな奇蘭ですが、もちろん水出し用に開発された茶葉ではなく、歴とした岩茶です。岩茶であるだけでなく、福建省の広範囲で作られている品種で「白芽奇蘭」という名でも有名です。岩茶としては「外来種」扱いになりますが、同じく「外様」の水仙と並び、今では岩茶の主要な品種の一つになっています。
お湯を注ぐ前、茶葉からもう独特の香りがしてくるお茶です。カシスだとかブルーベリーだとかの黒っぽい果実系あるいは干しぶどうのような少しクセのある香りで、淹れた時の味わいとのギャップが大きいです。
「これ、美味しいのか?」とちょっと首を傾げつつ淹れてみると、何か普通のお茶が出来上がります。
「普通の」というのは別にけなしている訳ではなく、言うなればオーソドックスなお茶という意味です。
少し酸味があってフルーティで、甘みはそれほど強くなく、焙煎の香ばしさもまあまあ感じられる。。。書いてても食指が動きそうも無い表現になってしまいますが、奇蘭はそういうお茶です。
白瑞香、雀舌といったものすごく判りやすい特徴のあるお茶ではなく、紫紅袍や北斗のような「とっておき」感の強いお茶でもありません。普段使いできてさっぱり飲めて、なおかついつ飲んでも美味しいお茶、以上!という感じのお茶です。同じような特性は金観音も持ってます。甘みとフラワリーな香りの金観音にたいして、さっぱり感とフルーティな味わいの奇蘭、という比較になるでしょうか。
水出しはもちろん、アツアツでも夏にぴったりなお茶です。なんというかあまり有り難みが無いっちゃそうなんですが、気さくに長く付き合える肩の凝らないお茶、番頭の夏のイチオシです。