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秋本番。
気持ちの良い天気は残念ながら徐々に崩れていくようで、連休最終日の「てんてん祭」がちょっと心配です。降らないといいんですが。日記を見たら去年は15日、16日が台風の影響で商売上がったり、となっていました。
お茶の話でも、茶器の話でもなく、何故かコショウのお話しです。
「RIPE PEPPER」という、訳するとそのまま「熟したコショウ」という名前の粒胡椒です。
別に番頭は胡椒マニアだとか、スパイス大好きだとかそういう事ではないのですが、この胡椒、中々面白い場所で面白い人たちが作ってて、それに興味を持ちました。
ちょっと贅沢してペッパーミルも一緒に買いました。アマゾンさんやっぱ便利ですわ。
このRIPE PEPPERの産地はカンボジアです。もともと生産が盛んで、中世から1960年代まではカルダモン山脈の麓で作られる胡椒は世界一美味しいと言われていたそうです。過去形なのは1960年代のカンボジア内戦で胡椒の生産は壊滅的に激減してしまいます。 ええと、クメールルージュとかポル・ポトとかああいう頃の事です。
そこに倉田さんという一人の日本人が登場します。倉田さんはNGOでカンボジアの復興に日々貢献しながら、その胡椒を伝統的な栽培法と製法でもう一度復活させようと思い立ちます。現地の人と力を合わせ、少しずつ胡椒作りを大規模にし、カルダモン山脈の麓に胡椒農場を作ります。まだ立ち上げて15年ぐらいの農場であるみたいですが、口コミから着々と評判を上げている…らしいのです。いえ、何しろ香辛料関係は門外漢なので詳しい事はわからんのですよ。
もう一つ番頭が興味を持ったのは倉田さんの胡椒の中でRIPE PEPPERだけが結構なお値段な理由です。ええと、番頭基準では小さな瓶(34g)で1500円近い胡椒つうのはかなりなアレです。まあ一日二日で使い切るようなものではないのですが。
なんでもこの胡椒、完熟と謳うだけあって一房にほんの一粒二粒しか取れない赤く熟した実だけを選んでいる、というもの。他の粒は一般の「黒胡椒」「白胡椒」になるんでしょうね。
素人考えで「もうちょっと待てばもっと赤い粒が取れるんじゃね?」と考えましたが、どっこいそれだと樹勢が弱ってしまうらしいんです。そっか、来年再来年…ってずっと収穫していかないといけないすものね。
結構探せばこういうストーリーって世界中あっちこっち、いや日本国内にだっていっぱいあるんすよね。物を作る、自然とたたかう。対価としてそのものすごい努力がちゃんと報われるといいな、と思います。
で、肝心の完熟胡椒の味です。ゴリゴリやって色んな食べ物に合わせてみました。番頭が慣れ親しんでいるS&BテーブルコショーとかGABANなんかとはちょっと香りが異なります。いわゆるコショーではなく、胡椒。。。ううむ判りにくいっすね。ちょっとドライフルーツっぽい香りがするように感じられます。辛味の中にちょっと甘さも感じられ…。 変な例えになりますが「黒七味」ってありますでしょ、あんな感じの「???」感。 シンプルなパスタに振りかけても合いそうですし、白菜鍋にも合いそうです。どちらかというと料理そのものの風味がはっきり主張するものよりシンプルで淡白なものに合うんでしょうね。
お茶もしかり、ですが完熟=濃厚、陳年=鄙びた、ではないんですね。
味覚と嗜好は奥が深いです。
お茶日和。皆さま良い週末を。