
番頭ざんす。
お天気に恵まれ大層賑やかだった昨日とはうって変わって、しっとりとした日曜の朝を迎えております。
開店準備を済ませて独りで朝のお茶。今朝は番頭チョイスではなく、飲んでおくように、と小梅さんから言い渡されたお茶でスタートです。朝活、ってのとはちょっと違いますが、番頭が唯一脳がまともにうごいているのがこの時間帯だけなもんで。

岩茶、しかも肉桂、しかもけっこうどっしりなヤツです。昨日のお昼前に小梅さんがお客様にお出ししたお茶がこれです。
2009年の肉桂。祝先生の馬頭巌の茶畑で採れたものです。小梅茶荘(屋根あり)が開店した年の産、なのでもうじき6年、という古株です。 何度か定期的に試飲を繰り返してはいたものの、今まで茶荘に並んだ事が無い肉桂です。

比較用、現行の清香肉桂です。焙煎のかかり具合がかなり違うのがわかります。
この焙煎の強さと茶葉本来の持つ力強さが作用しあっていて、6年前に初めて飲んだ時にはクラクラするほど強く、決して飲みやすいお茶ではありませんでした。ちょうどその頃には「3番」と呼んでいた濃香な肉桂が、開店初年度の茶荘の「エース」としてフル回転していて、そのせいもあってこの肉桂はしばらくお蔵入り、という事になっていました。

そのまま6年。放置していた訳ではなく、かといって温存していたという程の事もなく、静かにこのお茶はひたすら熟成を重ねてきました。
「飲み頃ですね」と小梅さん。あのですね、三年寝太郎の倍っすよ、6年て。在庫には金利蔵敷ってのがかかるんすよ、厳密にいうと小梅さんねえ小梅さん。
ま、今さら愚痴を言っても6年の時は巻き戻せないんで、四の五の言わずに飲んでみました。昨日もお客様の試飲のご相伴で少し飲んだんですが、じっくりとあらためて飲むと…やっぱ強いです。番頭が肉桂苦手めなせいもありますが。
とはいえ、もっと焙煎香が強くてかつトゲトゲしいシャープな印象が朧気な記憶にあるこのお茶、コゲっぽさは抜けてこってりとした甘みが残っています。肉桂の持つ力強さはそのまんまですが、カドが取れたかな、という印象です。

そうだよな、岩茶ってこんなだったよな、と再認識させられるお茶です。相変わらずうまい事表現できませんが、「岩茶らしい岩茶」が熟成するとこんな味わい、というお茶です。
美味しいです。6年置いた甲斐がある、と小梅さんは嬉しそうですが、あきんど番頭としては手放しでは喜べませんですね。
っせえな。寝る子は育つってんだよ。