
こんつわ。クラウチングタイガー番頭です。
今日は周さん(父)の茶壺の「落款」のお話しです。
大雑把には出来上がった茶壺の底にある刻印、という認識で合ってます。正確には蓋の裏側にも小さな刻印があるんですが、目立つのはやはり底の大きなヤツです。
作陶家さんの姓名、姓名+制、屋号、会社名、雅号…色んなパターンがありますが、近年のもので一番多いのは姓名or姓名制、あたりのシンプルなものです。
いわばIDのようなものでして、作った人なり工作室{工房)が判るようになっています。もっとも、贋作は落款もコピーしちゃうんで簡単には決め手にならないのですが。

一種類の落款を使い倒す作家さんもいるみたいですが、大抵は一人の作家さんでも数種類の落款のパターンが見つかります。画像は周志雲さんの茶壺では割と見かけるタイプ 右に姓左に名のみのシンプルなヤツです。 左右バランスを取るために姓を引き延ばしてます。

周さんの場合は姓一文字、名二文字なのでバランス上最後に「制」をつけて四文字にする場合があります。制一文字名一文字の楊さんの場合だと右に【楊琴】、左には【製陶】と付けてバランスを取っています。

この落款が当茶荘にある周さんの茶壺の中では一番古いものです。【周志雲制】という落款の上下に【徐漢工作室】【周志雲手製】と彫ってあります。こちらは落款ではなく、多分自分で書いたものと思われます。
まだ周さんがお師匠さんの徐漢堂さんの工房にいた頃の作ですね。

ちなみにこの茶壺の底にあります。ちっさいクセに茶荘の値札がついている商品の中の最高金額がコイツです。

落款の種類は 1)茶壺の大きさ(底の面積も含む) 2)作られた時期 3)価格 等で使い分けている事が多いです。 楊琴さんのように二文字で姓名だとあまり印を大きくしちゃうと間抜けっぽく見えるから製陶をくっつけるんですな。 他にも作陶家さんが識別や分類がしやすいような「タグ付け」的な役割を担っている場合も。

買う側、使う側にとっては真贋を見分ける鑑定の目安であったり、作られた年代を推定する為の手がかりだったりします。国営の工場で作っていた当時の【中国宜興】の落款みたいに(本物であれば)その茶壺のアイデンティティを識別できたりもする、筈なのですが…

周さん、落款作りすぎだって。
こんだけ多いと法則性を調べる気も失せます。
本人とチョクでお付き合いしてるから贋物の心配は無いものの、そうじゃなかったらこんだけあればどれかが贋物だろう、ぐらいに疑ってしまいます。 実際、茶壺の大きさ、値段等々とそれぞれの落款をざっと見比べても確たる法則性は見つけられませんでしたもの。

とはいえ、茶荘の周志雲さんの茶壺は落款の種類がどのものであれ、本物である事には間違いございません。
あんまり紛らわしいとJAROにいいつけますぜ