無地の蓋碗、ほたるの片口蓋碗に続いて「お手頃」シリーズの第三弾にして本命です。
紅泥の茶壺、いわゆる小品集と呼ばれるヤツです。
形状は5種類。どれも紅泥を使っています。
特別な土ではないと思いますが、中々きめの細かい肌をしています。
かねてより小梅さんが探していた「高くなくて、でもちゃんと作られている茶壺」です。何だかんだここ3年ほどは宜興に行く度に工房や工作室、工場を回って探していたのがこういったお値頃な茶壺。
…お値頃だの高くないを連呼してるくせに、肝心のお値段を書いてませんでした。どれでも一つ9,720円です。
久々の「あります一万弱」です。円安だの中国国内での価格高騰だのを考えると、この出来でこのお値段はかなりのお買い得だと思います。
いわゆる「作家物」ではありません。なので作陶家さんの落款の代わりに、底にはこんな感じの刻があります。「孟臣」つうのは「恵孟臣」さんという、明代の名人さんの事です。お皿に書いてある「仲良き事は…」+実篤+なすびの絵、みたいなもんだとお考え下さい。 同様に蓋にも内壁にも作家さんの落款はありません。
土の善し悪しや細部の作り込み等、作家物とそうでないものの間にはいくつか違いがあるのですが、一番大きな違いは多分、一つ一つにかける時間と労力です。逆に言えば、作家物でなくとも、細部までちゃんと作られているものがあれば、それはお買い得といえます。 作家物の茶壺が、例えば蓋と胴体の口が隙間なくピタっと作られているのは、作家さんの経験や腕も勿論ありますが、要するにピタっと合うまで修正されているからで、そうでないものは製品として世に出ないからです。作家ものでないものにはそこまでの時間と手間はかけられませんし、それが安く作れる理由の一つです。
以上の事をふまえてこの一連の紅泥壺はかなり高得点です。シンプルなデザインで、大きさも100〜140mlと小ぶりなサイズですので、初めての茶壺としても最適ですし、サブ茶壺として使うのにも適しています。
まだ来たてのほやほやですんで養壺で育ったものは見ていませんが、小梅さん曰く綺麗に育つ土だとの事。
以下、各茶壺の画像です。
140ml
130ml
110ml
100ml
130ml
野に遺賢あり。
茶荘の棚に置いてございますので、手に取ってご覧下さいませ。