見慣れないタイトル。
ちょっと見には宜興の作陶家さんにいそうな文字面ですが、人名ではありません。岩茶の新品種でもなく。
蘇迪勒=ソウデロア。昨日台湾を直撃した台風13号の名前です。ミクロネシアの伝説の酋長の名前からとったんですってさ。
名前の由来はともかく、見事に台湾を横断した今回のこの「蘇迪勒」、各地に甚大な被害をもたらしました。
詳しい事はネットニュース等でご確認下さい。繁体字を頼りに読むなら「yahoo 奇摩」で検索すれば奇摩新聞に詳しく出てます。
ともあれ、死者行方不明者倒壊家屋等々、後々復旧に時間のかかりそうな深刻な被害に遭われた地域も多いようです。被災された方に一日も早く平穏な日常が戻りますように。
暴風域の真っ只中にいる時に電話しても迷惑になりそうなんで、一晩明けた先程鹿谷(凍頂)の劉さんのところに小梅さんが電話しました。 幸い、鹿谷郷は「雨風強かったよ〜」で済む程度だったようです。家も畑も無事も無事でひとまず安心。劉さんの息子さんが東側の台東に住んでいて、そっちは大木が根こそぎ倒れて車が潰されたり家が風でボコボコに壊されたり…と至る所で被害が出ている模様。
…何か諸々引っくるめてすみません。お絵かきソフトとか使えないもんでフリーハンドで殴り書き。
↑の台風の進路図のちょっと下の黒い線あたりで台湾をブツ切りにした断面図がこんな感じです。
台湾という島は真ん中あたりに高い山が南北に連なった「中央山脈」というのがありまして、東側と西側を分断してます。 東側は台湾海峡をはさんですぐ近くに中国、東側には広大な海が続きます。なので台風はほとんど島の東側から上陸します。ええと、ざっくり言うと太平洋側と日本海側みたいな感じです。
この大きな山脈(最高点は富士山より高いのはご存じのとおりです)が東から来る台風あら低気圧の勢力を弱める「壁」の役割を果たしています。
ちょうど凍頂烏龍茶の故郷、鹿谷郷はこの壁の裏側に隠れるようにくっついている状態です。この「壁の裏側」を西部山麓といい、同じく茶どころの阿里山、杉林渓もこの山麓(高度に差はありますが)側に位置しています。
鹿谷方面から梨山に向かう途中のけっこうな高地から見たさらに東側。3,000メートル超の高山が連なる中央山脈です。この山脈が台湾の東西の往来を困難なものにし、同時に台北・高雄・台中といった西側の平野部の諸都市を自然災害から守ってるんですね。一長一短…ううむ、一長三短ぐらいすかね、普段の不便さを考えると。
とはいえ、東側の花蓮、台東、宜蘭にもお茶どころはいっぱいあります。もちろんお茶だけでなく、市井の暮らしも西側となんら変わりなくあります。来るな、と言っても聞いてはくれないでしょうが、台風の被害が出来るだけ少ないように、と祈らずにはいられません。勿論日本にも人形町にも来て欲しくはないんですけど。
唐突に鹿谷の茶摘みメシ。
肉体労働バージョンはおかずたっぷり。
一難去って… 蘇迪勒は元気いっぱいに台湾海峡を横断し、返す刀で福建省をバッサー。福州は昨日からものっそすごい大雨だそうです。幸い武夷山は今の所そこまでの大事には至っていないみたいですが…進路上なんですよこれがまた。
鹿谷・武夷山。知人友人が沢山いる両茶どころ。小梅さんの心配は尽きないようです。