
いくつか茶器が入荷しております。例によって小梅さんの「購入品リスト」から商品名を解読するのがとても難しいので、この2種類の蓋碗と後ろの湯呑みっぽい茶杯は「つや消しのヤツ」と呼んでおります。

茶荘の棚に並んでいる蓋碗より一回り小ぶりです。非常に目立つ特徴として二つとも表面がグロッシーでなくマットです。光沢が無く、少しザラついた感触です。サテンフィニッシュというより、磨りガラスにやや近いイメージでしょうか。

茶杯も同じようにつや消しです。見渡してみても他につや消しの磁器のものが見当たらない茶荘の中で、この蓋碗と茶杯のニューフェイスは目立ちます。「釉薬かけんの忘れたんじゃないすか?」くらいに思ってました、最初は。

絵柄もなんというか渋いです。 「禅」の文字と、たぶん達磨大師。内側はもちろんツルツルなので、こうして蓋を取って見ると外側に艶が無いのがよくわかります。形はオーソドックス、少し小さめなので1〜3人さんくらいで楽しむにはちょうどいいと思います。

カメラが捉えた違法操業!…うそうそ。
これは「独釣寒江雪之図」のようです。寒い雪の中、川に舟を浮かべ独り釣りをする老人を描いた有名な画ですが、「独釣寒江雪」というのも禅語の一つです。 一見何の関係も無いような「ダルマさん」と「釣りジジイ」は、つまり両方とも禅の世界観を現している、みたいです。

「小梅さん、『沙』が見当たりませんけどぉ」
『悟』と『浄』があればまあ普通はそう思いますわな。 言うまでもなくこの二つ茶杯に書かれているのも禅には非常に関わり深いであろう文字です。何か…可愛いな。『悟』の口が特に。悟るとこんなお口ぽかんになるんすかね。

「茶事は禅道を宗とする事」みたいな『禅茶』つうのもありますし、武夷山の天心禅寺と岩茶の浅からぬ縁なども考えると禅と茶は近しいものかもしれません。 個人的に、あくまで個人的に(腰引けてます)ですが、番頭はお茶と精神世界をリンクさせるのはあまり得意ではありません。お茶は美味しい飲み物です、ってのがお茶屋の番頭としての基本的な立ち位置ですんで。
なのでそういうのを全部抜きにして、中々素敵なデザインで使いやすい茶器だな、と思います。
最初は違和感があったつや消しも、見ているとこれはこれで柔らかい感じが何かいい感じです。
特に蓋碗は使いやすいんでお薦めです。
道の上にも3年。