へい、番頭でござい。
明日は夏越の大祓えでございます。半年で溜まった穢れや罪を人形(ひとがた)に託して身体を清めて一年の後半戦に綺麗な心身で臨みましょう!という中々都合のよろしい行事のようで。ここいらだと神田明神さまが有名ですが、人形町末廣神社さまも毎年この時期には茅の輪が立ちました。毎年の事ながら、末廣さまの茅の輪はけっこう両側いっぱいいっぱいなのでどうやって「八の字」にくぐるのか心配になってしまいます。
早いもんで一年ももう半分。一部の遅いお茶を除き今年のお茶は出揃ったんですが、そんな中に「正体不明気味」の岩茶、コレ↑です。 品種名がどこにも書いてありません。新品種に付けられる事が多い三桁の数字だけが判っている、という謎の岩茶。 出掛ける直前に小梅さんに尋ねたら「丹桂か、丹桂の仲間」という例によってイマイチ釈然としない答えが返ってきました。
ならば較べてみようじゃないか、と奥の棚から丹桂の残りを引っ張り出してきて飲み比べです。
左が丹桂、右がくだんの謎のお茶。 いちいち書くのが面倒なので以後「(仮)」と表記します。
較べると右の(仮)のほうがやや黒っぽい=焙煎強め、なのが見てとれます。もっとも丹桂はかなり焙煎が軽いほうなので、(仮)が強焙煎という事ではありません。
グラムを揃えてさっそく飲み比べです。二択の評茶ではないのでのんびり茶壺で淹れます。鑑定杯って何か見てるだけでもう緊張するんで苦手なんすよ。
やや明るい黄色の丹桂は、色の通りかなり焙煎が軽く、その為「葉っぱぽさ」のような清々しさと、ほんのりとした乳香が組み合わさったお茶です。香りや味わいは白瑞香と共通点があります。沈丁花とキンモクセイの中間のような花香。繊細というか、どこかにか弱さを感じさせるお淑やか系岩茶、といった感じで。
方や(仮)は焙煎が丹桂よりほんの少し強く、かつ焙煎したてなので火香由来の香ばしさが鼻と口中にまず入って来ます。 続いて丹桂と同じように沈丁花とキンモクセイのミックスしたような香り。ただ香ばしさのせいかまだ作りたてだからか、どこかあっけらかんとした開放的な印象です。影の部分が無いというか、奥行きがあまり感じられない味わいです。 口に含んでいると奇蘭を思わせるライチやブドウのようなフルーティさが追いついてきます。これがちょい不思議ですね。茶葉本来の味や香りに火香が合わさって出来た化学変化のようなものでしょうか。
(仮)のほうは柔らかい中にも元気でポップな陽気さが感じられるお茶です。 すごい前の、小紅袍が最初に入ってきた時に感じたやんちゃっぷりを思い出しました。 (仮)は華やかな分、やんちゃというより「お転婆」って言ったらしっくり来そうです。
おしとやかで可憐な姉とお転婆な妹。。。 まだ(仮)が丹桂の妹かどうかははっきりしませんが、何かこの両者は姉妹っぽいなあ、というのが番頭の飲み終わっての印象です。
試飲できまっす。お気軽にどうぞ。