楊琴さんの茶壺が二つ。 どちらも昨日今日入荷したものじゃなく、けっこう前からあったように記憶しています。気がついたら茶壺の棚から消えていた、というより消えていた事にも気がつきませんでした。どうやら棚がいっぱいになってしまい、これ以上詰め込むとギッチギチになってしまうので小梅さんが一時的に避難させたようです。
どちらも明るい朱泥で作られています。 楊さんはどちらかというと朱泥は200m以下のいわゆる「小品」に使う事が多いです。明るい朱が可愛らしい小ぶりな茶壺に似合うというのもあるでしょうし、膨張色・進出色である朱色を使う事で小さい茶壺に存在感を与える狙いもあるんだと思います。
左のやや大きくほうてシュっとしたほうが水平壺、右の小ぶりで下ぶくれで愛嬌があるのが梨形壺。どちらも伝統的な形状がベースになっています。
周さん親子の朱泥と較べると楊さんの小品朱泥はいくぶん艶(光沢)があります。土の違いもあると思いますが焼きの温度がほんのちょっと高いのかもしれません。よくあるテリッテリの感じではなく光の反射が少しある、という感じの滑らかな肌です。 焙煎があまり強くないお茶や無焙煎のお茶には特に合いそうです。
水平壺は約190ml。薄手で肩のあたりが大きく膨らんでいるので見た目のイメージよりもたっぷり入ります。口がスパっと真っ直ぐに切り落とされたような「鉄砲口」です。淹れる時は思い切って角度をつけて一気に注ぐスタイルのほうが使いやすいですね。
オールマイティですがプーアール生茶あたりにお勧めです。伝統的な水平壺と較べると蓋のつまみが大きいです。親指と中指で把を持ち人差し指で蓋を押さえるタイプの持ち方をされる方にはこんくらいつまみが大きいほうと扱いやすそうですね。
水平壺/190ml/25,920円お値頃で見た目よりたっぷり入って可愛らしい、と好条件の揃った茶壺で入荷以来いくつかお買い上げいただいていたのですが、不思議とこの水平壺をブログでちゃんと紹介した記憶がありません。ブログ内検索ちゅうのをやってみましたがやっぱり出てきませんでした。 時々こういう具合にごそっと取り上げ忘れた茶葉や茶器があります。何せちゃんと計画的に考えて書いていないもんで…面目ござらん。
棚のレイアウトとやりくりして並べるように小梅さんに言っときますが、見つからない時は「水平壺は?」とお尋ね下さい。
こちらは梨形壺。名前の通り洋梨のような形をした可愛らしい茶壺です。西施壺と並び、「緊張と緩和」の一番緩和側に位置する、どこか人を食ったような形です。本来は人が梨を食うもんすけどね。
左が周迎珂さんの、右が楊琴さんの梨形壺です。 より扁平な周さんのほうがややお約束事に沿っているように見えます。 梨形壺の首のあたりがもうちょっと長いのっぽさんで「思亭壺」ってのがあるんですが、楊さんの梨形は思亭の帽子=蓋に近い形をしています。個人的には楊さんの梨形のほうが肩がすっきりしていて好きですが、好みは分かれる所だと思います。周さんの梨形は棚にならんでますので、比較検討していただけます。
台湾青茶なんかに合いそうですね。 金観音とか雀舌あたりの焙煎が強くなく香りが華やかなお茶も蓋内側の空間に香りが漂って楽しいと思います。
梨形壺/130ml/25,920円どちらも在庫僅少でぇす。