「人がいつもより少ないようです。」
小梅さんの展示会レポートの序章はぱっとしない一行で始まりました。ごった返すほうが不思議なくらいハコがでかいんで、それが本来の姿なのかもしれません。去年までが異常だっただけで。
毎年参加してるんで、例年とのあるいは去年とどこが違ってるかというのは会場内を歩いていて何となく感じるようです。週刊誌の間違い探しのような違和感、みたいな。小梅さんがまず感じたのは今年は白茶が目立っているという点です。
ここ数年、中国国内だけでなくヨーロッパでも人気が高い白茶ですが、ここに来てまたギアが一つ上がったんでしょうか。広州はもともと香港と並び白茶が好んで飲まれる土地なので地元の芳村茶城にも白茶を扱う店舗は少なくありません。 身体の火照りを冷やすとか、美肌効果が高いとか、そんな理由もあるんでしょう。
取れたてのフレッシュな白茶は合い変わらずですが、10年以上経った老白茶の人気も高いようです。上級茶葉の15年もの、なんかになると名産地の古樹の生茶といい勝負、くらいに高くなってるそうで。
もう一つ目立っていたのは「みかんのお茶」。柑普茶とか桔普茶、陳皮普洱茶なんて呼ばれているものです。使われている葉がプーアールの場合は「普」がつきますが、陳皮茶というと六堡茶を使ったものも有名です。
画像のようにちょっと欲しくなっちゃうような丸くて可愛らしいお茶です。
使われているミカンの皮はこんな感じに中身を抜いて乾燥させたもの。懐石料理なんかで出てくる「ゆず釜」の釜みたいな感じですね。 使われているミカンや作り方、年数なんかで細々と分類されるんですが、長くなるのでここでは省略します。 中に入れるプーアール茶は熟茶で細かい散茶、いわゆる「宮廷プーアール茶」みたいなものが使われる事が多いです。
かたや釜にせずざっくりと剥いた皮を干して作るものもあります。こちらは細かくして葉に混ぜ込みます。こっとのほうが簡単ですね。 この方法だと桔普茶はご家庭で作れますぜ。みかんの美味しいこれからの季節にはおすすめです。
もともと強い甘みに対して香りという面で弱いプーアール茶は柑橘だけでなく菊や玫瑰などの花とも合わせやすいお茶です。 香りの強いものを混ぜる事でアクセントになったり、それぞれの果物や花の効能に期待が出来たりもします。
ブースも盛況の様子です。残酷なほど人気不人気がはっきりしてしまうのが展示会の怖い所。今年隆盛を誇っているミカン関係も来年再来年はどうなってるかは神のみぞ知る。
みかん+白茶=陳皮白茶。良いとこ取りっすな。
開けるとこんな感じです。茶葉と崩した破片を一緒に使います。茶葉に移ったみかんの香りだけでなく、皮そのものの強い味と香りも入れちゃいます。メキシコ料理のトスターダ(タコサラダ)やフランス料理のパイ皮包みなんかと同じですね…違うかしら。
この陳皮白茶を始め、白茶は小梅さんがあれこれ図々しく試飲しています。曰く、当たり外れが激しいとの事。
みかんの皮関係のお茶も同様で、まず使われているお茶が本来どのくらい美味しいかというのが問題のようです。みかんありき、で作られたものはあまり良い茶葉を使っていないような印象をもっちゃいますね。
展示会も残すところ今日明日の二日間です。