明日(9日/土曜)と明後日(10日/日曜)は10時から6時まで営業いたします。
両日ともに4時より試飲会がございます。4〜6時は試飲会参加以外のお客様もお買い物はしていただけますが、試飲は承りかねます。予めご了承下さいませ。
TGIF!! バントーでっす。
開店前の茶荘の棚はこんな感じです。毎晩茶壺をおろし、毎朝並べる。8年前に開店してからこのから毎日淡々と繰り返してきた地味なルーティンです。
朝のお茶も同じように、特に朝イチに出掛ける用事とかが無い限り何らかのお茶を飲みます。一人で留守番の時も、小梅さんがいる時も。
新しいお茶が入って来た時や、これはブログに書こうと思ったお茶がある時は別にして、基本的にはその日の天気や気分によってこんな感じのお茶、って事でお茶棚をガサゴソやって決めます。岩茶、とか生茶、とかお茶の種類で決める事もあれば、漠然と「シャキっとしたい」「いったん落ち着こう」とかの場合もあります。
今朝はちょっと「巻き戻したい」気分です。カッコ良く言えば初心に帰る、ぶっちゃけて言うとちょっと疲れてるって感じですね。
そんで、伝統凍頂烏龍茶にしました。番頭的にはかなり思い切り巻き戻した感のあるお茶です。
20年ちょっと前くらい、初めて「あ、ウーロン茶って美味しいんだな」と頭の片隅で認識したお茶を思い出すのがこのお茶です。そん時はまだお茶屋の番頭じゃなくて、台湾も高雄に点在する工場に定期的に出張するだけの場所でした。朝から晩まで工場の会議室みたいなところでカンヅメになって打ち合わせしながら飲んだお茶が、今にして思えばこのお茶だったかなと。
台湾第二の都市として飛躍的な発展と近代化を遂げた高雄も、番頭が初めて訪れた時はなんつうかアジアの南方の都市、以上!って感じでした。桃園空港がまだ中正空港という名前で、そっからプロペラ機でブルブルと小一時間かけてたどり着いた高雄の町は上空からみると唯一の高層ビルだった国賓大飯店だけがぽつんと目立つ、何だか平べったい垢抜けない町でした。ただ、妙にエネルギーというか活気があって、埃っぽい道路にびっしりバイクが走る朝の光景に圧倒されたり、何を売ってんのかわからない小さな屋台が至るところにあったり。物見遊山で行った訳ではないのでいつ行ってもほぼ仕事だけして帰るだけでしたが、そんな中で水がわりに飲んだお茶の美味しさが不思議と印象に残っています。
今風の発酵が軽くて焙煎をしないタイプの台湾烏龍茶ではなく、しっかり発酵した茶葉に強すぎない絶妙の焙煎をかけた伝統型の凍頂烏龍茶。会議室で打ち合わせしたり時にはほぼケンカに近い交渉をしながら飲んだ赤っぽくて妙に甘みのあるお茶はまさにこんな感じです。縁は異な物、でお茶屋の番頭になるのがぼんやり決まった時、凍頂の茶農の劉さんを紹介し、わざわざ同行してくれたのがその時お茶を淹れてくれていた工場の社長です。社長、といっても番頭とほぼ同い年の女性で、30過ぎの番頭には良いケンカ相手でした。お互い鼻っ柱の強かった頃の話、ですが。…って事はやっぱあの時美味しいと思ったお茶は劉さんのコレなんすかね。毎年シャレにならない量を買い込んでるみたいですし。
昔話は今日はここまで。とっぴんぱらりのぷう。