
番頭でっす。
小雨の落ちる午後、お使いで懐かしい場所に行ってきました。
台北駐日経済文化代表處、簡単に言ってしまうと「台湾大使館」とか「領事部」みたいな台湾の日本における窓口機関です。国交が無いというか、日本は台湾を国家としてはいないので、大っぴらに国同士のお付き合いというのが出来ないんですね。で、各種ビザの発給や延長、公証の必要な書類の認証などはここで行います。国内主要都市に複数の事務所がありますが、東京近郊の担当はこちらです。
白金台の庭園美術館の横っぱらに背合わせで立っています。すげえ閑静な所です。

こんな状況下ですんで、個人のビザや認証関係は郵送ベースに切り替えているようです。個人の、ではない郵送を受け付けていない種類の用事の番頭は事前にオンラインで日時を予約して、指定の時間に窓口に出向いて書類の提出等をしてきました。一青窈さんの色紙を横目で見つつ、返信用の着払い伝票を書いて手数料を支払って待つ事しばし。
とりあえず提出書類は受領されました。この後帰路かかってきた電話で一悶着あったのですが、まあこういう所は相変わらず台湾は台湾なんだな、と四半世紀ほど昔の事を懐かしく、かつ苦々しく思い出しました。
リン・チーリンさんのサインのある色紙を横目に辞去。「写真いいですか?」と聞いたらかすかな笑顔で「どーぞ」と。うん、少しは愛想つうのを覚えたんですね、台湾のお役人さんも。昔、まだ亜東協会という名称だった頃は「オレ何か悪い事でもしました?」と訊きたくなるほどの見事な無愛想でしたけど。

返す刀で日本のお役所へ。蛇蝎の如く、とまでは言わなくてもどっちかというとあまりお近づきになりたくは無いと思われているお役所ではありますが、そんな事の後だけ余計に丁寧な対応と柔らかい物言いにほっとしました。いつも書いてますが、日本のお役所さんは窓口の方も担当者さんも本当に「ちゃんとして」います。

白金台から三田の慶大前、愛宕山下から湯島を抜けて池之端へ。帰りは根津から上野のお山を上って芸大前の銀杏並木、寛永寺の横から鶯谷の坂を下って恐れ入谷の鬼子母神の前… 東京は坂と台地とお山の起伏に富んだ街です。
お使いなのでアシ全部出してくださるつう事で、お言葉に甘えてタクシー使いまくりの大名遊山な半日でした。

折角なんでタクシーの運ちゃん達(その都度拾ったんで複数形なんすね)相手に景気のハナシでもしようかしら、なんて目論んでいましたが、何しろ街の風景から目が離せませんでした。目の保養つうか、目のご馳走ですな。金太郎飴屋さんも今年は千歳飴の売り上げも落っこちたのかしら、などとあれこれ考えながら。
センシティブな話題になっちゃうので言葉を選んでおっかなびっくり書いてはいますが、十分に気をつけた上でちょっとだけでも日頃見慣れた街の姿を再確認したり、久しく行っていない街をちょっとだけ歩いてみたり。家族や同僚以外の人と二言三言声を交わしてみたり…
「日常」も「非日常」も、何かしら自分自身に刺激を与え続けるというのはやはり大切な事だと思います。番頭は昨年、半年以上のあいだ病室の天井が主に見える景色だったんで、特にそう感じたりするんですよ。勿論リスクはリスクなので…というのは今更釈迦に説法ですし、「お前が言うな」と言われちゃうのでアレですが。

出先から小梅さんに台湾の事務所の画像を送ったら小梅さんから「それどころでは無いなう」というつれない返事と一緒に試飲画像が送られてきました。昨日は半日金萓茶を相手にタイマン張ってたみたいです。ケンカ上等、金宣上々。