
岩茶が3つ。
左から順に北斗、黄玫瑰、奇蘭。いずれも2020年のお茶、ですので現時点では「直近の」新茶です。
いずれの岩茶もそれぞれ2019年のものが現在のラインアップです。一年後輩、という事になりますね。
何せ去年の今頃は中国もそれどころじゃない大騒ぎだったのですが、茶葉はそんな事お構いなしに育ちます。育った茶葉は収穫しないといかませんし、摘んだ茶葉はちゃんと製茶して「お茶」にします。
正山小種の紅茶の逸話の時代から、国内外のさまざまな動乱も困難な時期も、文革時代の間もそうであったように武夷山の茶農さんはずーっとそうやって茶畑を守り続けてきました。今回もそうです。

開発秘話、とか苦労話の類いの思い入れでお茶の味が変わる訳ではないので、そういうの抜きにして3種類の岩茶を味わってみます。ま、思い入れつうのは茶農さんが作る時点で既に「丹精込めて」ますんでね。平時だろうが有事だろうが。
昨年は小梅さんが茶畑に行く事が出来ませんでした。なので祝先生にお願いして「これは」と選抜して送ってきたサンプルを飲み比べて決めました。そのためチャレンジングな茶葉とか、今まで扱った事の無い品種などはパス。「選択と集中」って言うんでしたっけ?アレです。この3品種が全てではないのですが、特にこの3種が出来が良かったです。

北斗は非常に評判の良い2019年のものに遜色ない出来です。
良い意味で奥行きが入り口と同じ広さの味わい。新茶とは思えないほど落ち着いた、思わずほっと幸せなため息が出るような優しい岩茶です。
口に入れた瞬間から後味までトーンが変わらず、煎を重ねてもずーっと同じペース。マスターズの松山のゴルフかっ、というくらい爆発も落ち込みも無い安定した美味しさです。焙煎は軽めですが、あまり火を足さないほうが持ち味が楽しめそうです。

黄玫瑰は昨年のものと比べるとエキゾチックさがそこまで強くは無いかな、という印象を受けました。持ち味の「ちょいチャラ」さよりも少し大人びたイメージです。北斗の反対で、飲んでしばらくして喉の奥から口中に広がるフルーティさがあるので、様子見ながら火を足すと華やかさが強くなるかな、と思います。個人的にはこんくらいのトロピカル加減がちょうど良いんですが、他の品種との差別化とかそういうのもありまして、ですね。
大らかさからファンの多い品種ですんで、大事にお手入れしたいと小梅さんも申しておりました。

奇蘭は言う事なし。今年(正確には去年だけど)のも文句無く奇蘭です。これはもう岩茶の奇蘭というより、奇蘭というカテゴリーの飲み物くらいに考えいただければ。アツアツで良し、水出しにも最適。しかも値頃。以上。

今回は長い間茶葉を預かってもらった上に輸出用の荷造りだの書類の署名だの添付だのといった、本来こっちでやるべき事を祝先生とムコ殿にお願いしちゃいました。お礼の電話をした時に「今年は気温が低かったのと、冷たい雨が降ったので生育がちょっと心配」らしい事を聞きました。茶農さんにとってはそっちのほうが大問題な事は間違いなさそうです。
台湾は水不足。劉さんも浮かぬ顔、だそうです。
ま、それでも何とかしちゃうのが熟練の茶農さんの経験と知識なんですが。