
ハッピーマンデー!番頭でっす。
秋晴れ、もうそう言っても差し支えない季節になりました。全国的に良いお天気で、西日本では真夏日になるところもあるようですが、お日様の勢いが夏の凶暴なそれと較べるとだいぶん和らいでるように感じられます。

今日は先日試飲した岩茶の奇丹についてちょっとだけ。
奇丹という岩茶のお話を始めると、ちょっとややこしいんで混乱してしまうかもしれません。何せ書いてる番頭からしてそうなんですから。
奇丹は岩茶の中でももっとも古くからあるとされている品種の一つです。そもそも大紅袍の母樹の一つが奇丹とされています。よく画像で見る崖の上にある大紅袍の数本(4本、あるいは5本とも)のうちの一本がそれです。こう書くと【奇丹⊂大紅袍】のようにとれてしまいますが、事はそう単純ではないのです。こんにち大紅袍は品種の名前であり、ブレンドの名前であり、ブランドでもあるからです。
大別すると【母樹大紅袍】【純種大紅袍】【商品大紅袍】の3つがあり、特に純種ですよ、と但し書きが付いていない限り大紅袍は3つ目の商品大紅袍だとお考えください。母樹の事はまあ忘れてください。僕らが飲む事は一生涯ありませんから。
他方、奇丹は大紅袍の構成員であり、同時に奇丹という品種として一家を形成しています。

ブレンド大紅袍(これが一番ポピュラーで、実は味も値段も安定しています)の中に肉桂や水仙などと共に味のベースとして使われる事も多いのがこの奇丹です。それだけ大紅袍「っぽい」品種だと言えます。奇丹は肉桂や水仙と較べると軽焙煎で仕上げた時に地金が出にくいので清香系の大紅袍に使われる事も多いようです。小梅茶荘の清香大紅袍はほぼ奇丹系です。

なんかここまで読んだ限りあまりありがたみのある岩茶には思えないかもしれませんが、奇丹は北斗などと同様に出来の良い、出自の確かなものはけっこう貴重です。小梅茶荘の清香大紅袍がいまだに2011年の茶葉なのも、2011年の清香大紅袍が大当たりだったのと、それゆえその後に2011年に近いあるいは並ぶ出来のものが手に入らないからです。
今回祝先生が送ってくれた奇丹は、清香大紅袍とは少しだけ味わいや香りが違うものの、出来そのものはとても良いです。
飲み飽きない飲み疲れない。こう表現すると凡庸、あるいは特徴が無いようにも思えます。が、この場合は正反対で、だからこそ岩茶らしさをじっくり味わえるのです。

ログハウスのようなウッディなトーン、ちょっとだけ収斂味、ほのかにお香のような細長い香りと紫蘇かバジルのような刺激…。どれをとっても一口含んで判る、一煎で掴めるような特徴ではありません。煎ごとに変わる表情が豊かなお茶です。
「岩韵」という言葉が岩茶の大きなキーワードの一つとしてありますが、この奇丹は「岩茶韵」とも言うべき風味が感じられるお茶のようです。

試飲にしてはややゆったりと美味しく煎を重ねました。煎持ちの良さも申し分なしです。
ふんわりと柔らかそうな葉底。丁寧に揉捻されているのが判ります。
もっと飲みたいなあ、と思う茶葉に限って試飲用の量が最小限で。祝先生いけずですわ。

残念ながらどうやらこの奇丹はほぼ売れちゃってるみたいですが、少しでも残ってたら是非手に入れたいです。清香大紅袍との飲み比べももう少ししてみたいですし。お値段は…ま、それなりにします。

試飲も駆け足ながら終えて、ギリギリで間に合った今年の岩茶。間に合わなかったお茶も沢山ありますけど。良い茶葉が引く手あまたの中、黙って見繕って少し取り置いてくれた祝先生に感謝しきり。武夷山の方に頭向けて寝れません。