なんとなく知っている程度ですが、【檟】という文字は「茶」の古字です…らしいです。
開店当初、ちっさいプーアール茶の塊をくるんでる外装に【檟】の文字をみつけた時は、恥ずかしながら【槓】(かん)と見間違いしていました。もっともその【槓】にしても意味が判ってた訳ではありませんが。
以来10数年、この【檟】という文字はほぼ見かけるた事がありません。
大きくするとこんな字です。右っかわは何か売った買ったや紙幣貨幣のニオイがします。貝がついてるからかな。
番頭のPCでは「ひさぎ」と打ち込むと【楸】とともに【檟】も変換候補に出てきます。久木さんという苗字も。
お茶を表す漢字が歴史上初めて登場するのは紀元前200年秦漢の頃です。爾雅という中国最古の漢字・類語辞典みたいな書の中です。
「檟とはこれすなわち苦荼である」この一文が「茶とは」について記された最古のものとされています。
↑の一説に出てきたのは「茶」の古字である【荼】です。上棒一本余計についてたんですね、昔は。草かんむりに余、どっかで棒一本落としちゃったんですね、うっかりさんが。キク科の多年草「のげし」の事らしいです。長じて苦しみ、害毒などを表す言葉に使われるようです。
番頭のPCは「のげし」と打ち込んでも【野毛氏】と変換されるものの荼の文字は出てきません。
もう一つ、この【荼】は梵語の音訳に使われます。「ダ」の音が【荼】ですね。番頭はこの文字を出す際には「だび」(荼毘)「まんだら」(曼荼羅)と梵語由来の単語を入れて変換してから辞書登録しました。
陸羽さんが著した茶経でお茶についての様々な定義付けがまとめられるのが西暦760年頃。檟の文字が登場してから実に千年近い時間が流れています。1ミレニアム分の年月、ちょっと頭がクラクラします。中国四千年の歴史、なんつうのもあながち大風呂敷って訳でもないんだなあ、とあらためて思います。
この茶経ではくだんの荼の文字の変わりに茶、檟、茗、などの漢字(5種類)がいわゆる「茶」を表す漢字として各々分類されています。
茶経のお話は長くなるんでまたの機会にでも。
まあそうはいっても結局現在茶葉や茶飲に関わる事は総じて「茶」の一文字で事足りてますんで、今日のお話は本当に役に立たないただの長い雑談。じいちゃんが縁側で孫っこに聞かせる昔の話、くらいにご覧いただければ。