
留守番最終日。
久しぶりに茶座を預かった26日間でございました。実働18日間、半月ちょっとの短い間でしたが、お陰様でお茶を飲む時間はたくさんありました。そんだけヒマだったとも言えますが。

最後なんで普段飲む機会が少ないものを淹れておこう、と思いました。はてどのお茶かしら。サンプルだとか、もう販売終了したお茶は除くと…宜興紅茶かなあ、いや意外と清香大紅袍とか。
そうそう、金萓茶ってだいぶ長いこと飲んでねえぞ。忘れてた事も忘れてました。
すまんすまん、と心で小さく詫びながら金萓茶を引っ張り出しました。

わずか18日の間に金萓茶はいくつも売れました。売り上げ台帳で常時見ている筈なのですが、対面でお買い上げいただいてお客さまにお渡しした体感としては思ったより人気があるお茶なんですね。現場にいないと得てして見落としてしまいます。
金萓四季春東方美人、台湾茶の売れ筋御三家的な知名度と人気を誇った10数年前ほどの事はなくても、今でも人気があるというのはそれだけ優秀で美味しいお茶と言えましょう。
ミルキーな香りととろっとした甘みが持ち味の金萓茶はそれゆえ着香したものが出回ったり色々問題もありました。着香自体に目くじらを立ててるわけではなく、着香したものをダマテンでさも自然な味わいであるかのように売ってたケースがあったのがアレだったんですが。

ともあれ、久々の金萓茶です。
凍頂春茶あたりと較べると当たりが柔らかく、ライトな飲み口に感じられます。ネガティブに書けば軽い、ポジティブに表現するなら軽やかです。
口の中のどこにも引っかからずに喉に落ちていく滑らかさで、すっ、すっって感じに茶杯を空けられるのが心地よいです。
乳香はそれほど主張してきません。飲んだ時に鼻に抜けていく香りの中に紛れ込んでいるくらいなので意識しないと感じられないかもしれません。乳香に関してはこんくらいがちょうど良いんだけどなあ、と番頭は思います。「台湾で飲んだのはもっとミルキーだったんです」って昔良く言われたのを思い出しました。

金萓茶=ミルキー、ではなくこのお茶の美味しさはそのかすかなミルキーさも含めた総合的なまろやかさだと思います。
こんだけご無沙汰しといて言うのも何ですが、ハレのお茶というより日常的に気軽に美味しく飲めるお茶としてはかなり優秀です。
影が薄いのよねえ。番頭にとっては。これはもう好みの問題なのでどうする事も出来んのですが、清香の台湾茶飲みたいって思った時にはもう冬茶と春茶の二択か、それに杉林渓を加えた三択って決め打ちしちゃいます。
その点で久々に金萓茶を飲めた事と、あらためて飲んで支持されている理由も再認識できた事は良かったと思います。
留守番最後にちょっと反省もしました。やっぱ茶座に座って自分で淹れないと忘れちゃう事っていっぱいあるもんですね。

忘れついでに使う茶壺を間違えました。武士の情けで小梅さんにはナイショにしておいてください。