黄金色に染まる銀杏並木。明治座さんの脇はこの冬も見事な景色を見せてくれています。都営新宿線浜町駅の2番出口はこの並木の途中にあります。階段を上がって地上に出たら出迎えてくれるこの風景の為にわざわざ用もないのに隣の駅から電車に乗った事もあるくらい番頭も大好きな初冬の風物詩です。
番頭大好きといえばこちらの茶壺も。
楊さんの漢瓦壺です。
先日のブログでも漢瓦壺を紹介しましたが、こちらはサイズもぐっと小ぶりなものです。
定番の紫泥を使っています。容量は約130mlと同じ紫泥の高六方の160ml、天円地方の200mlと較べると小さめです。朱泥の玉柱と同じくらい、お一人か二人用にはちょうど良いサイズです。小ぶりな分取り回しも楽です。
把がしっかり大きめに作られているので小ぶりでも指もしっかり入ります。
口から底に向かって少し絞られていますが、大きく膨らんだり狭くなったりしておらず基本的にはストンとした形状です。茶葉の出し入れが簡単な作りです。お湯と茶葉の対流が極端な横回りにも縦回りにもなりにくい分、淹れる茶葉を選ばないオールラウンドな茶壺だと思います。
伝統的な漢瓦壺を異なるのは觜の形状です。口径大きめの鉄砲口という点では基本通りなのですが、下部に膨らみを持たせたペリカンのような口になっています。このほうがよりお茶の出が速くなります。生茶のような抽出時間が短めのお茶にも適してるんではないかと思います。若干垢抜けない印象もありましが、なんか愛敬もありますし。
漢瓦壺最大の特徴である「蓋のコレ」はお約束どおり。若干ブリッジの両脚の立ち上がりが切り立ってるようにも見えますが、伝統的な太鼓橋よりこのほうが蓋が持ちやすいです。
把も觜も同様ですが、小ぶりな分使い勝手が悪くならないように=よりお茶が淹れやすいように細部をモディファイしているのが見てとれます。
大作ではデザインに重きを置きつつ、200ml以下クラスのいわゆる小品はお約束事に忠実である事に拘らず、お茶を淹れるという機能を第一に考えるのが楊さんのスタンスのようです。お茶を淹れる道具ですんでこの考え方は大賛成です。実用的といってもフォルムも見応えありますし。
最初に一つだけ楊さんの手元にあったのを小梅さんが引ったくって来たものがとても出来が良かったので大急ぎで作ってもらいました。
紫泥、容量約130ml、お値段33,000円。茶荘の棚にございますんでお手に取ってご覧下さいまし。