2月26日月曜日。
2.26事件の日ではありますが、今日のお茶にはそぐわない話題なのでここはスルーで。
季節は雨水、次候の「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」です。靆、というのは雲や煙が横に長くただようさまを表す字で、霞と対になって使われる事が多いようです。穏やかな日に風に乗ってどこからか漂ってくるジンチョウゲの香りもまたこの時期ならでは、です。霞と違って目に見えるものではありませんが、その香りを辿っていくと普段は目立たないジンチョウゲの低木に撒き菱のような花がついているのを見る事が出来ます。
キンモクセイもジンチョウゲもそうですが、香りが立つ花ってビジュアルがイマイチな気がしますが、天は二物を的なモンでしょうか。クチナシの花も、なあ。
ものすごく判りやすいマクラ。ええ、お察しの通り今朝のお茶は白瑞香でござい。今飲まなくていつ飲むよ、って感もありますが今飲まんでも美味しい岩茶ですが。ミーハーなので乗っかれるものには乗っかる事にしてイソイソと用意をします。
ブツ撮り用に導入したスマホとの付き合い方がまだ判らないんで若干画角や色味が気に食いません。ま、そのうち慣れるでしょ。
やや大ぶりな茶葉。昨年のお茶です。一度手入れしているので緑色が少し濃く沈んだように見えます。
白瑞香は持ち味の繊細な香りを引き出す為にかなり軽めの焙煎で仕上げてもらいましたが、香りに全振りすると青っぽさが気になります。煎を重ねて飲むのであればもうちょっと火が入ったほうがベターという事で若干念入りにお手入れしました。以前飲んだ時より茶水色が濃く出ます。
杯底香はややこってりですが、黄観音や金牡丹などの甘ったるさではなくスンとした甘い香りです。そして強い花香。ジンチョウゲよりジンチョウゲ、って言ってもあながち大袈裟ではないくらいです。
「ただよう」なんて奥ゆかしいもんではなく、空になった茶海を鼻に近づけると湯気とともにぶわぁと香りが直撃します。香料の香りと違って自然な香りなので強烈であってもどこか優しいです。
「
樹液のように少しウッディで、ツツジの花蜜を吸った時のような甘みを感じます。少し杏仁豆腐のような風味もします。」昨年11月に飲んだ時にこんな印象を書いています。1煎目の印象はほぼそのまんまです。味覚が落ちていないと喜ぶべきか、進歩が無いと嘆くべきか。
2煎目以降、前回ちょっと気になった青っぽさが落ち着いたように感じます。より岩茶らしいというか、軽やかでありながら物足りなくない味わいの深みが出てきました。その分繊細さは少し影をひそめたとも言えますが、このくらいのほうが飲んでいて疲れたりもたれたりしないので好印象です。
ルーキーイヤーには無い落ち着きが備わり、球速よりも防御率が上がり完投出来る投手力が備わったといったところでしょうか。
煎を重ねてもふんわりとした香りが続きます。半日粘るというよりは、ある程度煎を立て続けに重ねて飲み切るほうが持ち味が楽しめるタイプの岩茶です。なので今日はここまで。ちょうどお出かけ前に飲み終わりました。冷めても美味しいお茶なので最後の2煎はそのまま取っておいて帰ったら飲みます。
たなびく、なんて優しいモンじゃない北北西の強い風。ジンチョウゲの香りを楽しむのは明日にお預けになりそうです。