土曜日の朝はお紅茶とお菓子でお上品に始まりますのよ、おほほ。おハイソ番頭ざあます。
ラングドシャ、猫の舌かあ。美味しそうだけど名前からだとアツアツのお茶には相性が悪そうですな。おいねえなあ(房州弁)。
お茶は宜興工夫紅茶です。
一本一本が細かく縒られた細い絲のような姿は日頃何かと雲南紅茶を見慣れた目にはかえって新鮮に映ります。色も鳳慶や易武紅茶などと較べると一団と黒く、ブラックティーと呼んでも違和感の無い紅茶らしい面構えをしています。
工夫紅茶という、丁寧に作り込まれた茶葉ですが「お紅茶」とはちょっとニュアンスが違います。
ほぼほぼ宜興周辺で消費される為あまり出回らない地産地消のローカル紅茶であり、楊さんが作陶活動の傍らに常に置いてる常飲茶。番頭にとっては宜興紅茶はそんなイメージです。
ネコ舌泣かせの熱湯で淹れます。気持ち長めにしました。宜興紅茶の「らしさ」を引き出したいというもあります。もう一つ、東向きの部屋なので今朝は朝日の差し込みが強いんでブツ撮りの時に色が出にくいんで濃いめに。
宜興紅茶は濃いめにしたほうが持ち味が出ると個人的には思います。雲南紅茶や妃子笑と較べて、です。
案の定目で見たよりも画像は明るく出てますが、実際にはもうちょっと赤が強いです。
杯底香はすっきりとフルーティ。スイーティって皮が緑色のグレープフルーツ…最近話題にならんような気がする…のような爽やかな甘酸っぱい香りを感じました。さらにクンカクンカ意地汚く嗅いでるとニッキか八角のようなピリっとしたスパイシーさと羅漢果のような甘い香り。カッコ良く表現すればオリエンタル、ぶっちゃけ漢方っぽさが感じられます。
宜興紅茶=酸味、というのが番頭の頭の中に残ってる印象です。相変わらず酸味は感じるのですが、飲む度にその酸味が円やかになっているように感じられます。今朝は特に。ウバのようなサルチル酸メチルの「シップっぽさ」と正山小種のようなスモーキーさが奥の方で隠し味のように静かに広がります。
氷砂糖のような澄んだ程よい甘み、爽やかな酸味、紅茶らしい渋み、スモーキーさやメチル香と色んな表情を持つ紅茶です。北島マヤみたいな天賦の女優の才があるのかみしないすね。
茶葉をやや多めにしました。長めに抽出した分煎ごとの落差が大きくなりますが、茶葉が多い分たくさん楽しめます。最初の数煎は時折お菓子なぞつまみながらじっくり、後ろのほうは薄くなっても構わずに時間かけてチンタラながら飲み。そんな飲み方が楽しい肩の凝らない紅茶です。
地産地消のローカル茶と書きましたが、陽羨紅茶と呼ばれる歴史ある茗茶でもあります。「陽羨」つうのは宜興がかつてそう呼ばれたいにしえの地名です。陽羨緑茶も有名ですが、こちらはもっとマイナーなお茶になってしまいました。
『ようせん』と読むので「ようせんこうちゃ」なのですが、楊さんが毎年選んで確保してくれるので番頭は「ようさんこうちゃ」って呼んでます。
暖かい土曜の朝。たぶんかきいれ時で開店前から忙しくしてる小梅さんに後ろめたさを感じつつものんびり美味しくいただきました。
ラングドシャも食べ終わりました。舌の次は…猫の手借りて月末締めを片付けんべえ。そんけんこと、わけねえやで(房州弁)。