宜興紅茶が入荷しました。
どこか他人事のようにしれっとしたご案内になりますが、それは置いておいて早速飲んでみます。
せっかくなので昨年のものと較べてみます。
外観は色も形状もほぼ同じですね。強いて言えば昨年のほうが少し細いかな、くらいで。
工夫紅茶らしく丁寧に作り込まれた葉の一本一本が美しいです。ガサっとした大らかな雲南紅茶を見慣れてるとどこか儚げで神経質っぽく映ります。
しっとりとした黒っぽい緑の茶葉は「ブラックティー」って感じで。
熱々のお湯、しっかりと予熱した茶壺を使って淹れます。ブクブクと表面にサポニン由来の細かい泡が多めに出ます。アーワアーワ♪などと鼻歌混じりに謎の節*をつけながら蓋の袴の部分で泡をさっとスイープします。(*ラジオスターの悲劇のコーラス部分ね)
飲み比べます。
正直あまりドキドキはしません。何年にも渡ってほぼ毎年仕入れているお茶なので、この宜興紅茶が極めて出来が安定しているのは承知之助です。びっくりするほど美味しいって事もなければがっかりな年もまあありません。常に85点くらいの出来を誤差2〜3点の間で叩き出してくれる優等生、それがこの宜興紅茶です。
なので試飲も極めて平常心で行う事が出来ます。ビビリな番頭には有り難い限り。
それでも毎年全く同じなんて事はなく、ちゃんとその年の特徴ってのがあります。
今年の宜興紅茶は昨年と較べると柑橘っぽい爽やかな果実香が強く感じられます。この紅茶の持ち味である酸味も昨年のほうはトマトっぽかったのに対して今年のはレモンやライムに近いです。
香りや飲みやすさは申し分ありません。反面、オーソドックスな中国紅茶らしいコクや深みは昨年のほうが強いように思えました。
もし扱う紅茶が1種類だけなら今年のほうが売りやすいと思います。取っつきやすいんで。
ただ、鳳慶をはじめとする雲南紅茶と武夷の妃子笑という軽やかであったり華やかな紅茶という手強いライバルとしのぎを削る事を考えると、それらと一線を画す持ち味という点では去年のほうが欲しいすかねえ。現時点では。
まだ作りたてで未熟な部分もありそうです。もうちょっと、そうですねえ半年くらい経った時にどのくらい深みが出てるかですねえ。楽しみではあります。
兎にも角にも、今年も良い茶葉の良いロットを確保する事が出来ました。なにせ出回る量も時期も極端に限られてるんで毎年ちょっとずつでも買い足ししないといけない種類のお茶です。毎年の事なので手に入ってもそれほどワクワクはしないのですが、なくてはならない定番の、それも美味しい紅茶なので仕入れる事が出来て一安心。
じっくり飲む宜興紅茶も美味しいっすよ。ザ・中国紅茶って感じで。