お盆休み、茶荘はカレンダー通りにやっております。明日はお休み、月曜から土曜までは10時から5時まで営業いたします。
白瑞香です。
ジンチョウゲの咲く2月の終わり頃になると無性に飲みたくなるお茶ですが、暑い季節にもぴったり。
加えて甘さや香りがとても判りやすいお茶なので番頭が留守を預かる時には試飲での登板機会が一気に上がります。持ち味が引き出しやすいのと淹れ損ないの心配があまり無いんで頼りにしています。
今年のサンプルにも白瑞香が入っていました。先だって小梅さんが試飲しましたが、良い出来との事なので昨年の白瑞香と較べる事にしました。
ごちゃつくので画像は今年のほうを使っていますが、実際には2つを並行して試飲しています。
外見を比較すると今年のほうが茶葉が大きめです。色を見ても今年のほうが若干焙煎が強めに入っているようです。そこから想像できるのはたぶん今年のほうが少し「岩茶っぽい」(そもそも岩茶なので変な言い方ですが)味なのではないかという事です。
高温、比較試飲なのでほんの数秒長めに淹れました。この条件下だとやや今年のどっしり型が有利ではあります。
杯底香は今年のほうは香ばしさが少し強め。これはまだ作って日が経ってないので火香が残ってるせいもあります。
昨年のほうは透明感のある花香がはっきり。やや淡く、軽めの焙煎らしい青さがひとかけら。
岩茶を飲むつもりで淹れるとアレ?となるのは昨年のほうです。
杯を顔に近づけ、一口を含んだ時に両者の違いがより鮮明に感じられます。
今年のほうはぐっと強い芯のある味。花香と果実香の両者のバランスが取れています。金牡丹や黄玫瑰にも共通する花&果実のハイブリッドタイプです。
いいとこ取りな反面、異相の持ち味が互いを相殺している感も否めません。
いっぽう昨年のほうははっきりと沈香のような花香がはっきりしています。透き通った甘みがあり、乳香も感じられます。雀舌と石乳を併せたような独特の味わいです。
好みが分かれるところではあります。今年のほうは確かに岩茶としては非常に優秀です。出自が確かというか、「ええとこの子」らしい厚みのある味わい。かたや昨年の岩茶は華やかで嫋やか。 剛と柔、静と動の違いがあります。
煎もちはどちらも過不足ありません。淹れる前の茶葉の姿や味わいからは今年のほうが伸びる印象がありましたが、むしろ昨年のほうが後半になっても持ち味が変わらない印象でした。ちょっと意外です。
どちらが優れている、どっちかが外れ、ってな事はありません。どちらもそれぞれ白瑞香らしい、そして美味しい岩茶です。
ただ、特徴=セールスポイントがはっきりしているのは去年のほうかなと番頭は感じました。言うならばこちらの台所事情もちょっとはあるのですが、なんぼ優秀であっても似たような味や香りの岩茶をずらりと並べても、ねえ。
岩茶の楽しさ美味しさというのは、色んな味や香りといった持ち味のバリエーションじゃないかと思います。
「これ、お茶ですか?」「本当に香りとか付けてないの?」といった嬉しいビックリやウットリも、ああお茶ですねえ、という美味しいため息がたくさんあればあるほど楽しいんじゃないかな、なんて。これは岩茶に限らずですけど。
去年の=今茶荘に並んでいる白瑞香は本当に美味しいです。ビビリな番頭が断定しちゃっても大丈夫なくらい間違いの無いお茶です。
華やか香り系が好きな人も、いやそういうのあまり得意じゃなくて、という人も是非是非。