
ヒイコラ。
休日返上で倉庫の片付けをしております。小梅さんは茶葉の箱をあっちへこっちへ。昔「倉庫番」ってPCゲームがあったけど、ちょうどそんな感じです。違いはリアルなほうは嫌になってもリセットも終了も出来ないってだけで。番頭は大量の書類の処理をば。各種帳票類は7年保存なので、マメに毎年ローリングストックにしたとしても結構な量になります。本当は業者さん呼んで溶解してもらったほうが楽なのですが。しかもコロナ禍などのドタバタがあった結果、7年を大きく超える年度分が溜まってました。これを手でビリビリ細かくしながら紙とファイルのプラと元帳についてる金具と…て具合に分別するのは結構骨が折れます。

ちょっとサボってお茶にします。今日のお茶は前からこれって決めてました。岩茶の水金亀を飲みます。
久しぶりです。ええと確か5月の留守番中に茶荘でお客さまと一緒に飲んだ記憶がありますが、それでも4ヶ月ちょっとは飲んでいない計算になります。
2013年の茶葉です。なんつうか狭間世代というか、記憶にある限りちょうどこのくらいの時期の岩茶、つまり同期がもう残っていません。濃香肉桂や巌水仙あたりの「開店以来の古参」である岩茶が陳年茶と呼んでも差し支えない15年超の茶葉なのに対し、12年、干支一回りはちょっと微妙です。
とはいえ、十分に年数を経ている岩茶なのでどう変化しているか、どう変化せずにらしさを残しているか、が楽しみです。

黒っぽい、どこか鉄を思わせるような渋い色の茶葉です。茶葉からは以前ほどの火香は感じられず、キリっとした硬派な香りがします。
これまた馬頭岩の肉桂や巌水仙と同じように「あの頃の岩茶」の色であり、姿です。
5グラムを100℃。やや短めかなと思いながら20秒で出しました。

杯底香はこってりとした甘み。以前こんなんじゃなかったように記憶してたのでちょっと意外でした。花香と果実香がそれぞれそのこってりとした甘みに仲良く隠れてます。少しナッティな香りもあり、結果として甘さ果実香ナッツっぽさが合わさってレーズンとナッツのパウンドケーキのような香りです。

茶液の香りはウッディ。乾いた天然木の香りがします。
口に含むと同じく木質な味の中に強い甘み。鉄羅漢のようなピリっとした切れ味とも、肉桂のようなずしりと重い打ち込みとも違う、胴を鮮やかに抜かれたようなインパクトがある強さです。

じっくり味わって飲みます。
クルミかアーモンドのようなナッツっぽい味、バランスの取れた花っぽさ果実っぽさ。表現しにくい多層的な味わいがしばらく続きます。
唯一無二な味わい、だけど何と言えばこの味わいが伝わるかが問題です。これはもう飲んでみてくださいとしか言いようが無いです。

あの頃の岩茶だなあ、という岩茶らしい岩茶。
煎を重ねたところで顔を出す背骨がすごく安定していて、急に味が落ちたり変わったりしないのもあの頃の岩茶、それも出来のよい茶葉の持ち味がよく出ている点です。
飲んでいる間に思い出しました。この年は確か祝先生んとこは黄観音を比賽に出して金奨かなんかを取った年です。奇蘭と金観音も良い出来だったと思います。このあたりの定番岩茶はたくさん仕入れるけど消費量が大きいので10年前のが残ってるなんて事はまずありません。この2013年の水金亀や2015か16年の紫紅袍あたりが希有な例かもしません。

書類は7年保存ですが、有り難い事にお茶、特に岩茶やプーアール茶あたりは越年越香で置いておけば美味しいままか、もっと美味しくなってるかです。
整理しないで良いのは嬉しい限りですが、お陰で倉庫がエラい事になってます。
さあて、午後の部頑張るかあ。