
近所の公園に大きな金木犀が植わってます。画像は昨年10月17日に撮りました。

その時にはもうキンモクセイの花が見事に咲いていて、樹のぐるりどころか風に乗ってあたり一面にその芳香を振りましていました。
今年はどうちゃったんだろう。遅いとは聞いていたけどまだ音沙汰無し、いや音じゃないか香沙汰無しとでも言いましょうか。

咲いたら飲もうと思ったんだけどなあ。
待ちくたびれて先に飲んじゃいます。キンモクセイといえば、の黄観音。今年の茶葉です。

2009年の開店以来見飽きるほど見てきた茶葉。今年のは新茶にしてはやや色が濃く落ち着いているように見えます。適度に大雑把に大小の葉が混ざっています。選りに選った、という感じではないですが勿論端物でもない、ごくごく平均的な葉姿をしています。
こちらも大雑把に茶葉を目分量で取り出します。約5グラム…の筈です。

ヤカンを火から下ろし、ザブザブと鼻歌混じりで余熱しといた茶壺に注ぎます。1,2煎は20秒ほどで。
例年の平均値よりやや茶水色は濃いです。焙煎由来の濃さというよりは発酵由来のものだと思います。焙煎は軽の中より。

杯底香は「これぞキンモクセイ」、ザ・桂花香な香りが圧倒的マジョリティ。この香りの母とも言える黄金桂(黄旦)にゆかりのある岩茶には金観音、金牡丹、黄玫瑰などがありますが、こと桂花香に関しては一番その血統を受け継いでるのはやはり黄観音ではないか、と。そんくらいに判りやすいキンモクセイっぽさです。その圧倒的な印象に隠れてはいますが、ちょっとだけミルキーでちょっとだけグリーニッシュな部分も感じられます。

さて味はというと、華やかな香りに対してけっこうしっかり目な印象です。軽やか(good)だけど軽さ(bad)は無いというか。この手の香り特化系のお茶にともすれば感じられる頼りなさや物足りなさがないです。ちゃんとお茶、発酵したお茶。勝手な想像ですが、新品種である黄観音ももうそれなりのキャリアを積んできているのでそろそろ岩茶らしい風格みたいなのが出てきたのかもしんないです。刮目して見よ、ってヤツです。

触れれば折れるようなたおやかさ、という点においては今年の岩茶では梅占や花果香の白瑞香に一歩譲るように思えます。それはたぶんこの黄観音の味の濃さゆえでしょう。ルッキズム云々とまた怒られそうですが、敢えて言えば骨太とか肉付きが良いとか、そんな感じです。

「五香黒豆」なるものをお茶請けにしました。節分の福豆そのもの、な素朴な味が黄観音の邪魔もせず加勢もせず。ポリポリ…。

それなりの煎数で一段落する往生際の良い岩茶です。このあたりは奇蘭なんかも似てますが、個人的にはこういうライトな岩茶があっても良いと思います。どのお茶もこのお茶も何煎もそれこそ永遠と思えるくらい煎が続く、なんてねえ。疲れちゃいますもの。その分お値段がこなれてますし、家具屋じゃないけど「お値段以上」な美味しい岩茶です。

「今日もまだ咲いてません」
途中の、同じく定点観測地を通った小梅さんから報告が入りました。
ま、一年分くらいの桂花の香りを黄観音で補充できたんで、今朝はそれで良しとしやしょう。
それでも僕は、君を待ってる。