
「これ、何ですか?」
茶荘でお茶を試飲しているお客さまの目の端にとまる、茶盤の上の不思議な置物。
日頃中国茶に親しまれ、茶会などのお茶の席に参加する機会がある方には茶玩、あるいは茶寵と呼ばれる茶具だという事はご存じだと思います。当茶荘の場合はそうでないお客さまのほうが多いので「ナニコレ?」な存在なのも無理ない事でして。

色んな種類があります。海の物山の物、動物植物それ以外。大抵は縁起の良い物であったり、伝説上の何かであったり、言葉遊びであったり。

亀、龍あたりはよくモチーフになります。これは小梅さんの好みもあるのですが、ウチは亀率が高いようです。
茶玩としてはポピュラーな「古銭咥えたカエル」とか「瓢箪・波・コウモリ」といった定番ものはあまり積極的には仕入れません。また茶盤の上が定位置なので場所を取る大きいもの、安定の悪い背の高いものなどは避けるようにしてます。同じ縁起物でも「鶴」の茶玩をあまり見かけないのはそういう理由かと。

茶荘の茶盤の上には常時数体が鎮座してます。本来は一体あれば十分なのですが、扶養家族が多いもんで。
中でもひときわ目を惹くのはこの変顔のヤツ。

金魚、です。デコにコブがあるので「蘭鋳」ってヤツでしょうか。金魚に詳しくないのでよく判りませんが、どちらにせよデフォルメされているようです。
背びれ代わりに5枚コインを背負っています。五福、という縁起にかけているようです。
金魚は「金余」と同音なので「お金が余るほどの」金運をもたらしてくれるとされています。これが多分一番。また多産子宝子孫繁栄方面も願っているようで。金魚は仏教でいうところの「八吉祥」(宝傘、宝瓶、蓮、法螺貝、法輪、吉祥結、勝幢、金魚)のメンバーでもあるんで、いわゆる八宝でもあり。龍が伏せている「臥龍」にも模される、なんてのもあります。
要するに縁起が良い、特にベタに金運が良い要素を詰め込んである、んですな。

金魚に限らず、茶玩の主たる事業所は茶盤の上、主たる業務はお湯、お茶をかけられる事です。茶盤でお茶を淹れる時にしばしば発生する飲まないお茶を「捨てる」のではなく「かけてあげる」と置換する事により所作も良くなります。
お茶をかける、というのは一種の功徳であると考えられるので、縁起物を配置する事でその御利益に預かろうという一石二鳥狙いですな。

ま、そういうモチベーションは別にして、この金魚は人気です。なんかね、不思議と目が合うんですよ。お茶淹れてる時も飲んでる時も。で、よく見ると表情が一体一体微妙に違ってたりするんで二体並んでるとついつい見比べたりして。
茶荘では普段はお客さまの方を向いて、つまり淹れる側にケツ向けてます。福が来て欲しいんで入り口のほう向いてるってのもちょっとはありますが、どうせなら我々ではなくお客さまに御利益があったほうがベターですし。
茶荘にお越しの際は茶盤をご覧ください。座ると間違い無く、立ったままでもかなりの確立でコイツと目が合うはずです。

集合体恐怖症の方には申し訳ありません。
弥富とか大和郡山に対抗してるのか、ってくらいの個体数。見ようによっちゃ開店時間直後のパン屋さんみたいです。ね、こうしてても目が合うでしょ?
茶荘の棚のあちこちに何体か散開させてあります。ご来店時にご覧ください。

業務連絡2点ほど。
23日、24日の試飲会は両日とも残り1席ご用意できます。遠慮のかたまり、みたいになってますがどうぞお気軽にお申し込みくださいませ。
昨日のブログでご案内した漢瓦壺のうち泥絵5(蝶々の柄)はお買い上げいただき、売り切れとなりました。