
たわいの無い、でも気が利いたウソってのはなかなか思いつかんもののようです。毎年今年は何かついたろうと企みはするんすけどね。結果としてフカシになったり間違った情報になったりする事はけっこうありますんで、今日の分のウソはそれで相殺させてください。

新年度一発目のお茶は岩茶の黄玫瑰です。昨年の岩茶の中で、番頭はこの黄玫瑰を花果白瑞香と梅占と並ぶ「香り系御三家」と呼んでます。お初の梅占、圧倒的強者感のある花果香白瑞香と較べるとなまじ毎年のように安定した良い出来の黄玫瑰は若干話題性に欠けるきらいはあります。
が、去年のこの黄玫瑰は味も香りも今までのものより一段上の良い出来です。

ご託並べるのはそこそこにして早速飲みます。たっぷり5グラム。黄玫瑰は多めの茶葉使ってクラクラするのが個人的には好きです。
高温、250mlの茶器で1煎目25秒。
お湯を注ぐとともに茶器からは山椒の葉のようなスパイシーな香りが少し。けっこう刺激的な香りが刹那。逃がさないように急いで蓋を閉めます。

色の濃さは花果白瑞香<梅占<≦黄玫瑰、って感じです。軽の中よりくらいですね。茶水をたたえた茶海からは柑橘っぽい果実香を感じました。
この香りも不変なものではなく、日によってあるいは淹れ方によって花っぽさが勝ったり、果実香であってももっと桃っぽかったりします。

杯底香はうって変わってこってりねっとり。花香と果香の両方がいっぺんに鼻に入ってくるのでちょっと面食らいます。花果白瑞香の澄んだうっとりする香りと較べると気玫瑰は目鼻立ちのはっきりしたエキゾチックな香りです。

飲んでみるとなんともいえない口感に圧倒されます。鼻腔から抜けるクチナシのような花香と、舌の付け根からノドに通っていく少し熟しすぎちゃった洋梨とか黄桃みたいな甘みたっぷりの果実味。鼻口ノドが香りと味の連合軍に攻められてアップアップします。判りにくいと思いますが、全体に「南っぽい」味わいです。イタリアでもインドでも南の方って人情人付き合いはじめ北のほうよりオープンじゃないすか。そんな感じです。

煎が進むと香りは大分大人しくなり、果実味もねっとり熟した感じではあるものの白いブドウとかライチっぽい爽やかさも感じられます。酸味もほんのちょっぴり。
黄玫瑰は花香と果香を併せ持ってますが、その年によって果寄りの時と花寄りの時があります。2025年の黄玫瑰はちょうど中間、でも半分半分ではなくて七割七割みたく全部合わせて100%よりも濃いようです。味たっぷり、香りたっぷり。
後半にきて岩茶らしいミネラル感とピリっとした乾性の刺激。一番最初にお湯を注いだ時に感じた山椒の葉っぽさがここに来て出てきたかのようです。ずいぶんと長い伏線回収だ事。

味も香りもパンチが効いてるのでお茶請けは後半の煎からがお勧めです。バウムクーヘンなんて久しぶりですわ。

大ぶりな茶葉の葉底。焙煎軽めで発酵強め、って感じです。揉捻も若干緩めなように見受けられます。

この黄玫瑰はいつものものよりも標高の高い、山の上のほうで育ったものです。香り系岩茶の環境としてはこっちのほうがベターらしいです。
その分いつもより高かったけど、その値打ちはお釣りがくるくらいにありました。ここでコケて手首骨折した小梅さんも文字通り骨折り損にならんで済みました。

もともと香りも甘みも強いお茶なので水出しにしてもティーバッグをホットで飲んでも楽しめますんで、色んな飲み方していただければ。
特に梅占飲んでハマった人、黄観音や金観音が好きな人には是非お試しいただきたいお茶です。

結局今年もお洒落なウソは思いつかんかったです。